恋に落ちた海賊王 夢小説U

□同盟
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ある日の食事時…、



『はいハヤテさん、あーん』


「え?や、紫桜っ…だ、ダメだろ、それは…」



紫桜が突き出すスプーンを前に恥じらいを見せるハヤテ。…コイツら、海の藻屑にしてやろうか。



『私が口をつけたスプーンでは食べられないと?』


「そ、そういうわけじゃ…っ。いや、それもあるけど…」


『…ショックです』



あからさまに悄気る紫桜に、ハヤテは慌てた様子で言う。



「あーもう!!食う食う!!食うからっ!!」



その後赤面してたじろぐハヤテ。

そんな二人を全員が冷ややかな目でみる。

そして紫桜が『どうぞ』と催促するかのような仕種をとり、ハヤテはスプーンを口にした。



「えーと…、じゃあ、俺も…。ほら、口開けろ」



そうしてお互いにお互いの皿に取り分けられた料理を食べさせあった紫桜とハヤテ。

俺達は呆気に取られ、口を挟む者はいなかった。





そんな事が当たり前になってきた頃、俺は嫌な事に気づき始めた。



「…」


『シンさん、何ですか?さっきから、視線が気になるのですが…』



そう、いつからか紫桜は、ハヤテにしか見せない表情をするようになった。

どこか嬉しそうな、そんな表情。



「…お前、まさかとは思うが…ハヤテに惚れたのか?」


『………は?』



飯を食わせ合うのは、単にハヤテをからかっているのだと思っていたが、最近はそれも前より嬉しそうに見える。



『何故、そんな事を?』


「顔見れば分かるんだよ。ハヤテにしか見せない表情するようになっただろ」


『…ハヤテさんにしか見せない表情を、何故貴方が知っているのですか?』


「決まってんだろ。常にお前を見てるからだ」


『……どういう意味ですか?』


「…、意味なんかねぇよ!」



紫桜は俺の目を真っ直ぐ見据える。
くそっ、上目遣いになってんだよ。

俺が目を逸らすと同時に話始めた。



『私は誰の事も特別好きにはなりません』


「…」


『ハヤテさんの事は、皆さんと同じように好きですから』



…仲間としてしか見れないと?ハヤテのみならず、俺達 全員が。



「…なら、何でハヤテと飯食わせ合うんだよ。胸糞悪い」


『あれは、同盟ですから』


「同盟?」


『はい。残さない為に、嫌いなものを食べさせ合うのです。ナギさんには内緒ですよ?』


「…」










同盟



『自分の嫌いなものを食べてもらう代わりに、相手の嫌いなものを食べてあげるのです』

「…自分で食え、アホ共が」





End.
20120107.

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