『罪と囚シリーズ』―螺旋の刺
□闇の世界で、生きると誓った日
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混沌の世界が広がる。
それが、魔界という場所だと母様が教えてくれた。罪、犯罪、愛欲を犯した者が辿り付く場所(ところ)なのだと。
僕の目に映るのは、大きな鉄製の黒の門と呼ばれる物だと察した。
天界の『白の門』とは違い、妙な圧力を感じる。
幼い自分でも空気ぐ索莫(さくばく)していると思う。
「此処が…黒の門。魔界の入り口」
僕はただ刮目(かつもく)するしか出来なかった。
何と…。
ー…寂しい場所なのだろう。
全身に戦慄さを感じてしまいそうだ。今でも、あの断崖絶壁を登って天界に還りたい。
『ごめんなさい、ハヅキ…』
ー…母様。
「おや?珍しいですね…」
門の前に佇んでいたら、知らない男性が立ち止まり、金色の双眸が僕を不思議そうに見ている。
短めな紫色の髪が魔界の生暖かな風により吹かれ、靡く。
此処に居るという事は…。
「貴方は…悪魔さんですか?」
「ふふっ、人は皆、そう呼びます。そんな低級な者と一緒にされたくないのですが、子供には解りませんね」
男は不適な笑みを浮かべながら僕を見た。
「僕…人間じゃないよ?」
「…じゃあ、何なんですか?」
「ほんの数時間前まで、彼処に居たの。綺麗な花が咲き乱れていて、天使の讃美歌が聴こえる世界」
混沌の闇の上を指す。