『罪と囚シリーズ』―螺旋の刺

□白き雨の前奏曲
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あれから月日は経つというのに、雨が降れば思い出してしまう。

ゼウダーが言ったように…


「…はぁ」


小さな溜め息をつき、ウリエルはガラスに手を添えた。
天神界では四季折々が当たり前に起き、天気も変わっていく。しかし、魔界ではどうなのだろうか。

こんな風に雨も降るのだろうか…


「って、忘れないといけないのに…私ったら…何、彼が棲む場所の事を気にしているんでしょう…」


長い独り言を言うと、ウリエルは手にしていた本を開く。


「こう憂鬱な時は…詩を書く日ですね。ハニエル…」


軽く微笑を湛え、彼はドアの方に視線を送った。


「あら、解っていましたの?」


「大抵、この屋敷に頻繁に通うのは…ラファエル、サキエル、ハニエルだけだからね…」
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