『罪と囚シリーズ』―螺旋の刺
□黒き百合の夜行曲
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相手が一人なら回避も簡単だろう。
しかし、二人居たとなると回避は困難になる。
「あぁ。そんでもって…彼方のペットだぜ?」
「……この臭い匂いは、シイガ卿ですね。で、ラファエルは何処です?」
「ごめんな。ウリエル…」
「ラファエルは囚われたんだ…」
鼻を押さながらも弟の事を尋ねたウリエルに対し、面目も立たない様子の二人は顔を伏せながら言ったのだった。
―――…ラファエルが
囚われた?
一体…誰に?
エメラルドグリーン色の双眸が揺らぐ。
「…シイガ卿に煽られた彼は、もう一人の存在に気付けなかった。それどころか…力に差がありすぎて…」
「『自分はいいから、兄様の所に』って言うんだぜ?笑えるだろう?」