『罪と囚シリーズ』―螺旋の刺
□黒き百合の夜行曲
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【ガブリエルside】
――…やべっ
「笑える?ふざけるんじゃありませんよ」
そう思った時には遅かった。
冷めた瞳をしながら、ウリエルは俺の頬を思いっきり叩いていた。
「ラファエルを行かすのが問題でした。まさか、囮の材料にされるとは…ラファエルが私の弟と知っているのは魔界では数少ない」
あぁ。
確かに数知れない。
だが、ゼウダー卿も知ったとしたらどうする。ウリエル…
ラファエルはゼウダー卿に剣先すら剥けられなかったんだ。
気配すら感じさせなかったんだぞ?
ティーベル兄弟と同じ厄介な存在だぜ。
「――…誰ですかっ!!!」
「「…」」
「聞いているのですよ?私の大事な弟を捕らえた輩を…」
昔から思うが、本気にキレたウリエルほど恐いものはない。
思わず唾を飲んでしまう。