『罪と囚シリーズ』―螺旋の刺

□黒き百合の夜行曲
4ページ/12ページ

「――…ゼウダー卿です」


お、おい!!!
サキエル。


「……ゼウダー卿…です…か」


「『ラファエルを解放して欲しいならば、ウリエルが一人でフリティラリア・カムチャトケンシスの生える蒼の谷に来い』と…の…事だよ…」


言っちゃったよ。


「そう…ですか。…私が行けば…ラファエルは解放されるのですね」


「ウ、ウリエル?今は休暇だろうっ」


「休暇だろうと関係ありませんよ。此方は大事な弟を人質に囚われているのです。そんな悠長な事言っている場合ですかっ!」


「け、けど…彼方の思惑に嵌まっては…」


――…こ、恐ぇっ


ウリエルが愛剣を、俺に剥けているんですよ。

泣いて良いですかね?


「貴方もよく存じ上げている筈ですよ。寝起きの私は機嫌が優れないと…」


十分に存じ上げているけども、完全にブチきれてるよな。


ウリエル…

口では言えないが、魔界でも生きていけるぞ。今の顔は…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ