『罪と囚シリーズ』―螺旋の刺
□黒き百合の夜行曲
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「――…ゼウダー卿です」
お、おい!!!
サキエル。
「……ゼウダー卿…です…か」
「『ラファエルを解放して欲しいならば、ウリエルが一人でフリティラリア・カムチャトケンシスの生える蒼の谷に来い』と…の…事だよ…」
言っちゃったよ。
「そう…ですか。…私が行けば…ラファエルは解放されるのですね」
「ウ、ウリエル?今は休暇だろうっ」
「休暇だろうと関係ありませんよ。此方は大事な弟を人質に囚われているのです。そんな悠長な事言っている場合ですかっ!」
「け、けど…彼方の思惑に嵌まっては…」
――…こ、恐ぇっ
ウリエルが愛剣を、俺に剥けているんですよ。
泣いて良いですかね?
「貴方もよく存じ上げている筈ですよ。寝起きの私は機嫌が優れないと…」
十分に存じ上げているけども、完全にブチきれてるよな。
ウリエル…
口では言えないが、魔界でも生きていけるぞ。今の顔は…