『罪と囚シリーズ』―螺旋の刺

□黒き百合の夜行曲
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そいゆう風な目の対象になろうと、尻を掘ろうと思う輩など誰一人として居なかった。

天神界では絶対に隠し通さなければいけないが。私はゼウダー卿が初めてだ。どんな魔族が居ようと交わる行為などした事ない。

逆に切り裂いていたくらいだ…

あの時、あの瞬間。

翻弄された軆は飢えながらも忘れようとしていたんだ。

なのに…

名前を聞いただけで反応してしまいそうになるなんて。

自分が許せない…

何より、ラファエルに目を付けた事が…

最大の罪ですよ。ゼウダー卿…


「あの澄ました面を…歪めてきます」


「「…」」


私は、寝巻きを脱ぎ捨てた。
椅子に掛かっている黒いシャツに袖を通し、ボタンを閉めた。


「報告書は適当に書いておいて下さい…」


「は、はい…」


「解った…」


さて、行きますか。

フリティラリア・カムチャトケンシスが咲いているであろう蒼の谷へ…
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