『罪と囚シリーズ』―螺旋の刺
□螺旋の棘…(後編)
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目を大きく開き、シイガはアルザリへ視線を移す。
普段ならここでゼウダーは引いているのが当たり前で、今みたいに反論はしたりしない。だが、どうやら今宵は違うらしい。
シイガが『変だ』というのも致し方ないだろう。
本当に今宵のゼウダーは、何時もの雰囲気と違う雰囲気を辺りに漂わせている。抱くだけ抱いた後の優越感と、足りない劣等感が入り雑じっている様な感じだ。
顔では解らないが、あながち間違ってはいないだろう。
そんな時だった…
「フリティラリア・カムチャトケンシス…」
花嵐が空からぐるぐると渦を巻きながら、此方へ向かってきた。
ゼウダーは椅子から立ち上がり、宙に浮く。思わず、アルザリとシイガは言葉を失ってしまう。
「――…ウリエル」