『罪と囚シリーズ』―歪曲の杯と死の宴
□息子
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少し痩せただろうか。
忙しい日々を過ごしていても分かるくらい、ウリエルは痩せていた。
週に一度は上層部の連中に呼び出され、戻って来たら酷く息を荒くしている。彼とのお逢瀬にはなかった光景だった。
「僕は…君の性格を知っているから…何も言わないけど……そろそろ、ガブリエル達は限界だよ。ハヅキが消えた理由を……話さないと、ね。ウリエル…」
全て、あの時に悟った。
ウリエルが蒼の谷から戻って来た瞬間から。彼が嘘を付いていると…
それでも良いと思った。
ハヅキを護りたい為にやった行いだから。
許されないけど、記憶を辿った。だからこそ、サキエルはウリエルを責めたりしなかった。
きっと、ウリエルと同じ立場なら…
自分も同じ様にしていたから。