『罪と囚シリーズ』―歪曲の杯と死の宴

□息子
2ページ/6ページ

少し痩せただろうか。

忙しい日々を過ごしていても分かるくらい、ウリエルは痩せていた。
週に一度は上層部の連中に呼び出され、戻って来たら酷く息を荒くしている。彼とのお逢瀬にはなかった光景だった。


「僕は…君の性格を知っているから…何も言わないけど……そろそろ、ガブリエル達は限界だよ。ハヅキが消えた理由を……話さないと、ね。ウリエル…」


全て、あの時に悟った。

ウリエルが蒼の谷から戻って来た瞬間から。彼が嘘を付いていると…

それでも良いと思った。
ハヅキを護りたい為にやった行いだから。
許されないけど、記憶を辿った。だからこそ、サキエルはウリエルを責めたりしなかった。

きっと、ウリエルと同じ立場なら…
自分も同じ様にしていたから。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ