『馬鹿でも、恐怖に思う…』
□頑張れ、僕。
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「兄様は幸せになるべきです…」
数秒置いて出た科白に兄様は瞳を大きく開いた。
「もうあの頃とは…違うんです。自分に素直になって良いと思います。だから……ゼウダー卿と…」
「…」
「幸せになって欲しいです…」
心臓がバクン、バクンと鼓動を打つ。
兄様は固まったまま一言も口を開かない。
「私もそう思います。ゼウダー様は貴方を待っていましたから…」
「「ウリエル…」」
「母様…」
「ほら、何か言え!」
やっぱ…
お節介だったかな。
「五月蝿い光魂達ですね。心配無用ですよ…ちゃんと、心は決まっていますから…」
『はぁぁ』と溜め息を吐き、兄様は僕の方へ手を伸ばして頭を撫でる。
「有り難う、ラファエル…」
そう言って、にっこり微笑んだ。