『罪と囚シリーズ』―歪曲の杯と死の宴
□大天使讃歌
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――天神界・エデンの城・庭
夏の木漏れ日が木々の隙間から漏れる中、大きな木の幹に背中を預け寝ているサリエル。微風が彼の茶色の髪を靡かせていく。
うたた寝をしているのだろうか、一人の少年がそっとサリエルに近づく。
目当ては頭に乗っている小鳥の様だ。
「捕まえたぞ、ハヅキ…」
「あっ」
後ろから掴まえられた少年は小さな声を上げる。サリエルの頭に止まっていた小鳥が空高くへ飛んで行ってしまった。
「小鳥さんが…」
「…」
エメラルドグリーンの円らな瞳が潤む。
少年を掴まえたガブリエルはバツが悪い表情を浮かべた。この現場を、ウリエルに見られたら大変な事になってしまう。
「ハヅキ…」
「窓から見えたの。お兄さんの頭に小鳥さんが乗っていて……近くで…見たくって…」