『罪と囚シリーズ』―歪曲の杯と死の宴
□ガブリエル協奏曲
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【ハニエルside】
朝から騒々しく城内を駆け回るガブリエルに遭遇したけど、話す事なく彼は外へ任務に出かけた。
「今日の…ガブリエルさん…忙しいね」
「そうね、一人バタバタしているみたいだわ…」
隣に居たハヅキが窓から外を眺めている。
今日は私が子守り役。
理由は、子守り役のガブリエルが忙しいから。ウリエルもバタバタみたいで時間を作れない事に少々、苛立っていた。
ま、ぶちギレない事を影ながら願っておくわ。
「母様も最近忙しくって…僕…お話出来ないや…」
「もう少しの我慢よ…さぁ、ハヅキ…お茶にしましょうか」
「…うん」
小さな肩が下がる。
毎日の日課が急に無くなると寂しいもの。
幼いハヅキからしてみれば、母親とのお話が唯一の楽しみ。忙しさあまりに最近、お話出来てないのよね…