『罪と囚シリーズ』―歪曲の杯と死の宴
□アキノキリンソウ…
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【ウリエルside】
あれから十二年経ったのですね。
ハヅキ…
―――…逢って、抱き締めたい。
「ウリエル様…お顔色が優れない様ですが…」
「はぁ…はぁ…大丈夫で…す」
私は壁へ凭れた。
「ウリエル様、ウリエル様…」
「しっかりなさって下さい…」
朦朧とする意識の中、部下達が慌ただしかった。
『時が来るまで…ハヅキが実の息子だという事を黙っててもらいますか…』
『宜しいでしょう…』
そう…
時が来るまでは。
ゼウダーに黙っていて下さい。
アルゼス卿…
『ウリエル、その身を俺に献上しろ…』
あの方の一部になる決意を下す…
――…その日まで。