『罪と囚シリーズ』―歪曲の杯と死の宴
□息子
1ﾍﾟｰｼﾞ/6ﾍﾟｰｼﾞ
―天神界・ウリエル邸・寝室
息苦しそうに倒れたのだと言う。
部下達は急ぎで意識を失った彼を屋敷まで運んだと報告を受けていた。
無理に自分を追い込む癖は治っていないらしく、今でも立派に健在だと認識した。
子供の様にスヤスヤと寝息を立てる彼を見て少々安堵するサキエル。
若い頃は無茶する部分も見て見ないフリをしてきたつもりだ。彼が御子を授かるまでは、自分も黙って見守ってきた。
しかしながら、今の彼は異常なくらい無茶し過ぎている。
弟が居なくなり、愛息子も…
否、息子にした行いは知っているんだ。知っているが、問い詰めるつもりは無い。
彼自身が考えた結果に出した結果だからこそ、否定はしたくない。
「……こんな姿、ラファエルやハヅキが見たら…啼くよ」