『罪と囚シリーズ』―歪曲の杯と死の宴
□魂からの涙…
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――魔界・ブェルブニ城・玉座
轟音を鳴らす雷が暗夜に光を放っている。
肘を付き、手を頬に置きながら眺めていると愛しい存在が一礼した。
「ハヅキが来るなんて珍しいな…」
「…そうかも知れませんね」
「私に何か…言いたい事でも?」
男は紅金色の双眸を細め、問いかけた。
「一つお伺いしても…宜しいでしょうか」
「いいよ…」
「もし、世界で一番憎い相手が居たとしたら…その相手が…大切な存在に苦渋な決断をさせたとしたら…セリデュク様は如何なさいますか?」
「それは、ハヅキにとって大切な存在って事で良いのかな?」
ハヅキが真摯な眼差しで映しながら質問する時は大抵、何らかの理由がある。
迷いがあるから助言が欲しいとかではなく、自然と男の所へ足を運んでくるのだ。