『罪と囚シリーズ』―歪曲の杯と死の宴

□魂からの涙…
1ページ/19ページ

――魔界・ブェルブニ城・玉座


轟音を鳴らす雷が暗夜に光を放っている。
肘を付き、手を頬に置きながら眺めていると愛しい存在が一礼した。


「ハヅキが来るなんて珍しいな…」


「…そうかも知れませんね」


「私に何か…言いたい事でも?」


男は紅金色の双眸を細め、問いかけた。


「一つお伺いしても…宜しいでしょうか」


「いいよ…」


「もし、世界で一番憎い相手が居たとしたら…その相手が…大切な存在に苦渋な決断をさせたとしたら…セリデュク様は如何なさいますか?」


「それは、ハヅキにとって大切な存在って事で良いのかな?」


ハヅキが真摯な眼差しで映しながら質問する時は大抵、何らかの理由がある。
迷いがあるから助言が欲しいとかではなく、自然と男の所へ足を運んでくるのだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ