『罪と囚シリーズ』―歪曲の杯と死の宴
□慎み深い、母親の愛…
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――魔界・ブェルブニ城・執務室
自分の邸宅に帰ろうと僕は長い廊下を歩いていた。
『異端天使を全員回収とは考えたものですね。もし、ハヅキが天神界に今頃居たら、恰好の材料って事ですか…』
『はっ、何故…そこにハヅキが出てくる』
少し開きかけていた執務室からイルア様とメオ様の話声が聞こえた。
『ゼウダー様、シイガ様、セリデュク様に話していないのは解りますが…メオ嬢にも話していないのですか?アルゼス兄様…』
本当なら知らないフリをして通りすがれば良いのだろう。だけど、僕には出来なかった。
通りすがることが…
『おい、アルゼス…下手な嘘を付くなよ。まさかだと思うが……ハヅキは異端天使か』
『…』
『話さないという事は、肯定だな…』