『罪と囚シリーズ』―愛し運命の輪

□愛し運命の輪
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―天神界・蒼の谷


生温い風にブルーグレー色の髪が靡かれる。始まりは、下界からだった。
娯楽の一つとも言える遊戯で、ゼウダーは恋に落ちるまでのカウントダウンを打つとは思いもしなかった。
相手は天神界の門番であり七大天使の一人、麗しきウリエル。美の女神に並ぶ美しい男性だった。
時は流れ、久しぶりに逢う彼は益々美しさを重ねていた。

何度、拐いたいと思った事か…

大天使という糧に縛っている姿が、とても初々しく思えた。そうまでして拘っている彼に心惹かれていったのだ。


「…っふ」


心が痛い。

ゼウダーは岩に身体を預け、暗雲の空を眺める。


『――…私は、晴天な空が好きです』


嘗て、愛しい存在は言った。


『雨や曇りよりも……晴れて太陽が燦々と輝く風景が何より好き…』


ゼウダーを蕩けさす様な甘い笑みを浮かべて。
だが、今の空を見たら涙を流してしまうんではないか。神と魔族の闘いを待っているかの如く、空は分厚い雲に覆われている。
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