それはふきあれるかぜのごとく

□出会い
2ページ/5ページ

ただ今第二会議室前。
中から話し声が聞こえる。
しかも雑談とかじゃなくて一人を軸に話を進めてる感じだ。
ようするに委員会はもう始まってる。

オレ帰っちゃ駄目か?
腹減ったし、真面目な雰囲気壊すの嫌だし。
って駄目だよな、自問自答するまでもねぇ。
腹くくるか。


ガラガラッ


『すんませんっ、遅れました!』


勢い良くドアを開けたことを後悔した。
オレ入る教室間違えたか?
リーゼント、リーゼント、リーゼント。
見渡す限りリーゼント頭のむさい男ばっかり。
むさい男は兄貴達で見慣れてるけど、規模が違う。
会議室の面積に対してリーゼントが多すぎる!
しかも並中の制服はブレザーのはずなのに全員学ランを着ている。



「ねえ、君誰?
今会議中なんだけど。」

『オレは士吹明良。
今日風紀委員になった。
ここで風紀委員会をしていると聞いたが、違うのか?』


会議室の中で唯一リーゼントじゃないヤツがオレに声をかけた。
背は男子にしては低い方だろう。
だが整った顔立ちをしている。
リーゼント集団の中で一人だけ浮いている。

そいつも学ランを着ている。
正確に言うと羽織っている。
その学ランの袖には風紀委員と書かれた腕章がついている。

つーことはここで風紀委員会をしているのは間違いないはず。
あのむさいの全員が風紀委員だなんて考えたくもないが。

いろいろオレが考えていたらそいつがため息をついた。


「草壁、どうして伝達が行き渡ってないの。」

「い、委員長!
私は確かに全クラスに伝えたはずです!」

「言い訳はいらないよ。」


伝達って何をだ、と思った瞬間。


ビュンッ


風切り音とともに吹き飛ぶリーゼント。
草壁と呼ばれたやつで、葉っぱをくわえていた。
委員長、と呼ばれたやつの手には鉄の棒。
あれは確かトンファーという武器だったはず。

草壁は一、二度痙攣してから完全に動かなくなった。
ご愁傷様。
草壁が気絶したのを確認してから委員長君はこっちを向く。


「士吹明良、君に用はないから帰っていいよ、と言いたいところだけどなんなの、その服装は。
学校指定のリボンの着用、そしてスカート丈・スパッツ丈の改善を要求する。」

『や、だってオレにリボンなんか似合ねぇし。
かといってなにもつけないのはアレだからネクタイをしてるんだ。
それにスカートって長いと足にまとわりついて邪魔なんだよ。』

「ふうん、僕にたてつくんだ。
そんなヤツは、咬み殺す!」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ