うぃっしゅ ふぉー しゃいん

□第四話
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ジョットの様子がおかしい、と右腕であるGは最近感じていた。
時々意識ここにあらずかと思えば妙に思いつめた顔をしているときもある。
さらに少人数ではあるが極秘裏に部下を動かしている。
右腕である自分には何も相談せずに、だ。

そんな日々がかれこれ一週間も続いている。
一週間前といえばテンペスト家でパーティがあったがそれが関係してるとも思えない。
まあいい、今日こそは理由を聞き出そうとジョットの執務室へと向かう。

途中で今日届いた郵便物を受け取る。

執務室の前についたら二度、鋭めのノックをしてから来訪を告げる。


「ジョット、俺だ。
入るぜ。」

「・・・ああ、」


どうにも歯切れが悪いが拒否されたわけではないのでドアを開けて執務室内へ入る。
ジョットは椅子に深く座り込み、眉間にしわを寄せてある紙を見ていた。


「ほら、今日の郵便だ。」

「・・・ああ。」


机の上に封筒類を置いてもいまだ紙に目を向けたままだ。
間の抜けた返事しか返しやがらねぇ。


「なあジョット、お前何隠してやがる。
一週間前から様子がおかしいぞ。」


駆け引きなしの、まっすぐな言葉。
俺とこいつが幼なじみだからこその気安いやり取り。
けれど言葉に込めた意味は小さくない。

ジョットは数回まばたきをした後、観念したように言った。


「そうか、お前には気づかれていたのか。」

「当たり前だ、何年一緒にいると思ってんだ。」

「ふっ、そうだな。
・・・見せたいものがある。」


口調は朗らかながらも瞳は真剣。
そんなジョットは、今まで険しい顔で眺めていた紙を俺に手渡した。
その内容は予想外のもので思わず目を細める。
流麗な文字にて書いてあったのは、


「麻薬の取引について、だな。」

「ああ、そうなんだ。」

「これ、どうやって手に入れた?
町に麻薬が出回ってるのは知ってるし、対策を立てなきゃいけねぇとは思っていた。
だが情報が不十分で手を出せなかったんだ。
お前はそのことを知ってたよな?」

「知ってたさ。
だがオレにはこの情報が正しいかどうかが分からなかった。
だから今まで調べていたんだ。」

「それが最近こそこそ部下を使ってやっていたことか。
だが正しいか分からない、つーんだったらお前いったいこの情報どこで手に入れた?」

「それは・・・」


その続きを言いよどむジョットは視線を俺が持ってきた封筒類に向けた。
この期に及んではぐらかされるのか、と思ったらジョットは迷いなくある封筒を手にした。
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