Short story
□不良と女と文化祭
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「はい、では文化祭の出し物が何がいいか決めたいと思います。今から紙を配るので、希望の出し物を書いて前の箱に入れてください。」
『なぁ…なんで佐々木がいんだよ…』
『知るわけねぇだろ!また原田の提案だろ…』
『相変わらずやるよな…原田は。』
そうだ。俺はこんな奴。
…こいつ原田っていうのか。
「てめぇら喋ってねぇで早く出せよ!」
「別に話して決めてもいいの。」
「…それを先に言え…」
俺、やっていける自信がねぇよ。
「はい、出し物はお化け屋敷に決まりました。」
『『…』』
俺がいるから誰も喜ばねぇんだろうな。
だってさっきから誰もが俺をチラ見してる。
「じゃあ次は佐々木君、進めて?」
「…俺が進めたら…」
「?」
「…いや、お前が進めろ。俺だと何するかわかんねぇんだろ?」
「私はアナタを信用している。」
は?何いってんだ?こいつ…
「あのときはあんな事言ったけど、本当は心からアナタを信用している。」
真っ直ぐな目。
説得力ありあり。
でも俺は騙されない。
「お前が信用してても他の奴は俺を信用していない。だからこんな喋らねぇんだろ?」
「原田 由美。」
は?
「あたしの名前。原田由美って言うの。ちゃんと自己紹介してないからそんな不安だったんでしょ?」
「いや、そういうことじゃなくて…」
「じゃあ今日は進めるから次は進めてよね。はい、次に───」
今分かった。
俺がどんなに強くても、きっとこいつにだけは勝てない気がする。
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