Short story
□髮を切るために必要な物
1ページ/4ページ
「今日はどんな感じに…」
「おまかせで。」
いつもの風景。何か可笑しいところがありますか?
「…何でいつもおまかせなの?」
「特になりたい髪形なんてないもん。」
「それでも女の子か…」
「何か言った?」
鏡越しに見える目はギラギラしている。
いえ…と呟いて、彼女の髮に触れる。
サラサラで触り心地のいいこの髪は、なんだかんだ言って一番きりがいのある髪の毛である。
いつものように鋏でバシバシ切っていく。
1ヶ月に一度というペース来るのにかなりのびている。逆にきりがいがあっていい。
「出来上がり。いかがですか?」
「さすがだね。上地君は。」
「最近シャンプー変えた?」
「えっ、分かる?」
いつもよりサラサラだったし、いつもと違う香り。
ほら、僕はこんなに君を見てる。
-