Short story
□髮を切るために必要な物
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「ふぅ…今日も無事終了ってとこかな。」
「途中でかしちゃん一人の男性はげにしかけたけどね。」
「眠かったんだもん。危なかった…」
「それにしても上地は腕をあげたな。」
「…はい?」
呼ばれたと思って振り向いたが、もう他の話しに。
実は今猛烈に悩んでいる。
恋というのを経験してしまったようだ。
「はぁ〜」
「あっ、上地がため息ついてるぞ。」
「なんだ?一人はげにしたか?」
呑気なやつらめ…
──
次の日、美容室の仕事は休みだったため、
買い物に出掛けた。
最近独り暮らしをはじめて、まだ揃うものがそろっていないのだ。
きのう給料をもらってボーナスも多かったため、良いものを買おうと思う。
「まず炊飯器っと…」
そう思って家電品のコーナーを探し回った時だった。
「あっ…」
おまかせの子…
実は名前はまだ知らない。
「あっ炊飯器…」
丁度彼女も見てる…よし。
「…こんにちは。」
「?…あぁ。上地さん。」
「炊飯器買うの?」
「うん。最近一人暮らし始めたから。」
「偶然。僕もだよ。」
「上地さん、実家暮らしだったの?意外だな。」
なんともない話。
深い意味も何もない。
それなのに僕は…
猛烈にドキドキしていた。
僕の恋の相手は、
この子だから。
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