Short story
□雨の日
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ある台風が近づいている学校の玄関付近で、私は足を止めた。
傘を持ってきた覚えがない。
今日は部活もなく早く帰って録っていた大好きなドラマを見ようとルンルンだったのが、片道一時間の帰り道の間を傘無し、さらに強風の中帰るのを想像しただけで気分はどん底。
置き傘なんて可愛いらしいことをするような私じゃなく、高校二年になっても相合傘が出来るような相手も居ない。
「…本当ツイてないっていうか…」
見るも虚しくどんどん吹き荒れてくる窓の外。これでは正直傘があっても意味がないような。
「しょうがない、待つか。」
きっと今が一番酷いとき。少し待てば帰れるくらいにはなるだろう。それまでに職員室にでも行って傘を借りれば済む話、大好きなドラマはまた今度。
私はクルッと向きを変えて自分のクラスへと歩き出した。
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