Short story
□雨の日
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台風が近づいているということもあって、クラスには誰一人残っていなかった。
「げっ、一人か…」
つまらないと思いながら静かに自分の席に腰掛ける。
いつもはガヤガヤしているこの場所も、雨のサーッという音だけ静かに響く。
「暇だな…」
まだ雨は弱まる気配を見せない。風も強くなってきているし、今更になって帰れるか不安になってきた。
携帯の着信をチェックして、最近ハマり出したアプリで遊ぶ。うーん、なかなか難易度高いな、これ。
必死に携帯とにらめっこしていると、静かな教室の中ドアが開く音が大きく響いた。
「…あっ、」
「おっ?」
そこにはびしょ濡れの同級生君。どうやら大雨になったので引き返したらしい。
「…お前も?」
「いや、私は傘がなくて。」
少しやんでから…と話していると、窓の外がピカッと光りゴロゴロと怒声をあげだした。
「…今日帰れるかなぁ…」
「…」
あいにくいつも無口な同級生君と二人。続く会話が見当たらない。
私が再度携帯の画面に目を戻すと、『GAME OVER』の文字。あーあ、結構記録出してたのに。
ふぅっ、と溜め息を出すと、同級生君がチラッと私の携帯の画面を見てから、「あっ」と声を漏らした。
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