Short story

□Hero〜何処にいても〜
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水戸 聡、国語担当。
イケメンという顔とは程遠く、何かあったら"すまん"が口癖の馬鹿。評判は普通。
特徴もなく、しいていえば髪がサラサラ。それだけ。

「おい神谷廊下走んなぁぁあ!!」
「水戸先生、あなたの方が激走してますけど…」

気づけば隣にあなたがいて、馬鹿に付き合わされていた。
いつからだろう、この気持ちに気付いたのは…

最初はまったくと言っていいほど関心がなかった。うん、本当にまったく。
でもいつの日か、先生が沢山の資料を廊下にばらまいたときに、

「手伝いましょうか?」

なんて言ったのが間違いだった。
それから先生の雑務を頼まれるようになり、今は放課後の日課になってしまったようなもの。
馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、何に引かれたのか先生を見るだけで体が熱くなって仕方がない。
そしてなんだか得した気分になるときた。

こりゃ相当の重症である。

「里田ー、今日の放課後、俺会議あるから終わってから来てくれー。」
「あー…はいはい…」

会議が終わるのは…五時半か。それまで何してようかな…何てことを授業中考える有り様だ。お陰でテストは順調に下がっていっている。



そして放課後。
図書室から借りた本を読もうと取り出したその時だった。

「里田さん、いる?」

まだ残っている人がガヤガヤしている中で、あまり聞き慣れない声が私の名を呼ぶ。
秋山先生…?
珍しいな、私を呼ぶなんて…

「はい。」
「あっ里田さん。今暇かな。」
「ええ、まぁ。」
「少し手伝って貰いたいんだけど。」
「…はい。」

いつの間に先生の間で雑務係になってるのよ私。

でも水戸先生以外なんて新鮮。…何て思うのは私だけだよね。


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