テニスの王子様bookAshort

□〜忍足侑士ルート〜
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侑「お疲れさんやなぁ」

「侑士先輩もお疲れ様です」


周りが各自飲み物を飲んだり休んでいる中、侑士先輩は私の側で壁に背を預け腕を組んでいる


「侑士先輩は何か飲みますか?」


私は自分だけ飲んでいるのも、と思い侑士先輩を見上げて訊ねかけた


侑「なんや、気ぃきくなぁ。俺は大丈夫や」

「そうですか」


私は何となく侑士先輩がいつもと違う感じがして

チラチラと侑士先輩を窺うように見ていた



何処か悲しそうな

切なそうな



そんな風に私の目には映った






「あ…最近カナとはどうですか?上手くいってますか?」




私は沈黙を破って問い掛けた

実際、カナとは侑士先輩との話は全然していなかったから気になり、つい問い掛けてしまった





侑「ん?あー…俺とカナ、別れたんやで」

「…は?」

侑「は?って。信じられへんのは分かるんやけど、ほんまの事なんや」

「なんでですか!?あんなにお似合いだったのに!!てか、早すぎません!?」




私は言葉が理解出来れば、まくし立てるように声を荒げてしまった





侑「何とも言えへん。ただ、お互いにお互いを思って決めた事なんや」

「カナが…それで納得してるなら…」

侑「納得も何も二人で決めた事やから…」

「…そう、ですか…」





私達の周りに異様な雰囲気

そうして、暫く口を開かずに黙っていた侑士先輩がいつになく真剣な眼差しで




侑「名無しちゃん、俺の彼女になってくれへん?」

「はぃ?また冗談を〜」

侑「カナと付き合う前からな、俺は名無しちゃんを見とったんやで。全然気付いてへんやろ?」




優しい笑顔の中に落ち着いた大人を感じさせた




侑「なぁ、あかん?」




侑士先輩は妙に色っぽい声で囁くように言った


私の中にはカナが浮かんで

簡単には返答できないと、

手に力を込めた時




侑「カナとはちゃんと話をつけとるんや。俺が名無しちゃんを気にいっとる事もカナはお見通しやったで」

「カナが……そうだったんですか」




私は何故かほっとしていた

なんでだろう…






きっと罪悪感や裏切りに繋がる可能性があったからだ



それでも、友達は大事だし

後々に気まずくなるのは嫌



だけど…



侑「ちゃんと考えといてな?」



また落ち着きのある、色っぽい声

私、今ドキッとした










ここから私は侑士先輩を意識し初めて

結ばれるのもそう遠くはなさそうだ










        *end*
 

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