テニスの王子様bookAshort
□王子様とハロウィン!!
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『よし!これとこれで…』
私は賑わっている友達を余所に真面目に衣装を選んでいた
大体の目星を付けて眺めて独り言を言いながら満足していた
『んー、我ながらセンス良いんじゃなーい?これに決定!』
衣装も決まり皆の元へ向かった
『…ぁ…優とカナ…』
二人の姿を見付けて駆け寄ろうとした時だった
ちょっと違和感を感じ足を止めた
優「あ、名無し〜。遅いよ」
カナ「どう?決まった?」
『う、うん…』
岳「何だよ?」
侑「どないしたん?」
優とカナ、それぞれに先輩達と手を繋いでいた
まさかとは思ったが
『ねぇ…優、カナ?』
私は二人の手元に視線を落とした
優「あ、気付いた?」
カナ「えへっ。私達付き合う事になったんだぁ」
予想はついていた
だけど、急すぎて言葉が出ない
侑「ほな、これからデートやから。また明日学校で合おな?」
岳「んじゃ解散!お疲れ〜」
『え?!ちょっと!』
侑「あーせやった。もう1人買い出しメンバー居ったんやけど、役に立たへんから2階のフロアに置き去りにしてたんやったわ。悪いんやけど、名無しちゃん頼むで」
『え?あーはい。…じゃなくて!ちょっと待って!…って、嘘でしょー?』
私を置き去りに二組の出来立てカップルが楽しげに店を出て行った
因みに優には向日先輩
カナには侑士先輩
どっちもベタベタと仲良さげなラブラブな雰囲気
あれじゃ邪魔出来ないよ
『最悪〜…なんなの、もう!』
1人、愚痴を零しながら侑士先輩に言われた通り2階に向かっていた
『ん?そう言えば、そのもう1人って誰なんだろ』
ふ、と思った事を口にしながらフロアに辿り着き目印になるのは制服だけだと思い周りを見回した
『…あ、居た。なるほど、これで役に立たないって事か…納得』
フロアにある休憩用のベンチにだらしなく眠っている氷帝学園の制服姿の彼
『あの〜、ジローさ〜ん。もう先輩達も帰っちゃいましたよ〜?おーい』
そう、我等が氷帝学園テニス部の一員でもある
芥川慈郎だった
慈「ん〜…あれ、名無しさん?」
『そうです名無しさんです〜。さ、帰りますよ』
慈「え?だって買い出しまだだC〜」
『ジロー先輩が寝てる間に済みましたよ。ほら帰りましょ』
慈「ふ〜ん。ま、いっか」
何も悩みなんて無いんじゃないかと思うほどの憎めない笑顔を見せて立ち上がった慈郎先輩
二人並んで店を後にした
帰り道、これまでの出来事やら買い出しの話をしながら帰った
先輩達との会話って、何だか緊張しちゃうんだけど慈郎先輩は違うなぁと改めて思いつつ家路を歩いた
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