テニスの王子様bookAshort

□甘々な日常
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今日は調理実習の日

私はエプロンを着けてやる気も十分に調理室へ










「おぉ〜!さっすが名無し〜。手慣れたもんだね〜」

「どう?さすがでしょ?」



私が完成させたクッキーを見た友達から歓声が上がり調子に乗って返答した




「どれどれ〜?」

「えっ?」




私のすぐ脇から手が伸びてきたかと思えば、ひょいっとクッキーを一つ摘み上げて頬張ったのは




「マイウー!さっすが名無しのクッキー」

「ちょっとブン太〜」



いつの間にか調理室に入ってきていたブン太だった

笑顔で美味しそうに食べている



「こら!丸井君!あなたは今別の授業受けてるでしょ!」



先生からの注意の声が掛かった



「ちょっとくらい良いだろぃ」

「ダメです!さ、早く教室に戻りなさい」



先生に押しやられながらブン太が振り返った



「それ、後で俺にくれよぃ。シクヨロ〜☆」



風船ガムをプーっと膨らませてウインクを投げかけ去っていった



「もう、ブン太ってば」



私は呆れながらもブン太が去っていった方を微笑ましく見ていた













放課後

言われた通りクッキーを袋に詰めて

部活中のブン太の元へ向かった私








「あー!丸井先輩の彼女さんじゃん!」

「切原君、お疲れ様〜」

「お疲れ様っす!今先輩呼んできますね!」

「あっ、良いよ良いよ。邪魔しちゃ悪いから部活終わるの待ってるから」

「?…そうっすか?んじゃ」

「うん。頑張ってねー」




切原君に手を振り、その場にあったベンチに腰掛けた

そこからでもテニスコートは見えた




「あ、ブン太だ」




ブン太の姿が見えれば胸がキュンと熱くなった




「わぁ…かっこいい…」




つい、口に出して呟いてしまった

周りの皆だって素敵だけど、私にはブン太しか見えていない

ブン太も同じなら良いな〜

なんて考えていたら




「あ……」




ブン太と目が合った

そして柔らかな優しい笑みを向けてくれた

また胸が熱くなる


















部活が終了していた事に気付かず私はベンチでうたた寝をしてしまった




ふわりとブン太の香りがした気がして目を開けた




そこには私をマジマジと見つめるブン太の顔





「わっ…!びっくりした!驚かさないでよ…」



私は慌てて目を見開き胸に手を当てた




「驚かすもなにも、こんなとこで寝てたら風邪ひくだろぃ」

「あ、ごめん。寝ちゃってた」




と、胸元の手に触れる物に視線を落とすと私の肩から掛けられているブン太のジャージに気付いた




「これ、…ありがと。ブン太が掛けてくれたんだ?」

「当たり前だろぃ。名無しに風邪ひかれたら困るからな。学校休まれても嫌だろぃ?」

「そうだね、ありがとブン太。…あ、そうだ!」

「ん?」



私は思い出したようにクッキーの入った袋をブン太に差し出した



「さっきのクッキー。どうぞ」

「おっ!マジ?!」



凄く喜んでもらえて、こっちまで嬉しくなる



「んじゃ早速!」

「今食べるの!?」

「良いだろぃ?あ、名無しも食いたい?なら、ほら…」

「…んっ……!」



半ば強制的に口へ放り込まれたクッキー



「な?美味いだろぃ?」

「うん。ってこれ、私が作ったんですけどー」

「やっぱ名無しのクッキーは最高!ソウゴチ〜☆」





夕暮れのグラウンドで微笑み合う私達

とても幸せ









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