恋に落ちた海賊王:ハヤテ

□赤い糸
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「もしも、同室でヒロインに片思いだったら・・・」と妄想してみました。
ハヤテ目線で。
ヒロイン登場しますが
名前設定の必要無しです。



「赤い糸」
ハヤテ目線で。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

「ねぇハヤテさん、運命の赤い糸って知ってます?」

 満月の宴の前、二人で甲板に灯りを準備していた。
 あいつは、ランプを灯しながら、オレを振り返る。

「なんだそれ。赤い糸がどーしたって?」

「んもぅ。私達は、生まれた時に見えない赤い糸で、運命の相手と繋がってるんですよ。」

「はぁ!?なにそれ。糸で繋がってるって意味わかんねーし。」

「小指と小指が、赤い糸で繋がってるんです。赤い糸の伝説、女の子の間では常識なんですよ?」

 そう言って、立てた小指をオレの目の前に突きつける。

「なーんだそれ、ガキみてぇな事いってんじゃねーよ。だいたい、見えないのになんで糸が赤いってわかるんだよ。」

「もう!そんな身も蓋もない事言わないで下さいよ。ロマンチックでイイじゃないですかー、ハヤテさんの小指も、赤い糸で誰かと繋がってるんですよ?」

 一瞬、ほんの一瞬、息が止まる。
 屈託のない笑顔に釘付けになる。

「じゃあ、お前の小指も赤い糸で、誰かと繋がってんのか?」

「そうですよ!・・・・・・・・・繋がってたら、イイなぁ・・・・・・」

 誰の事考えてるか、すぐにわかる。
 ランプの鈍いオレンジの光に照らされて、伏し目がちになった長い睫毛の影が、頬に落ちる。
 その横顔に、思わず見とれる。

「・・・つ、繋がってねーよ、ばーか!」

「ひ、ひど!」

 こんな事しか言えねー
 かっこわり・・・

「・・・・・・私、思うんです。赤い糸で繋がってる人しか、好きにならないようになってたらいいのに。
 そうしたら、好きな人が運命の人で、好きな人から好かれて、誰も傷付かずに皆幸せなのにって。」

 ・・・それは、・・・・・・・・・・・・・・・

 オレの赤い糸がもしあるなら、お前に繋がってたらいいのにと思う。

 そしたら、お前も、オレを見てくれるのにな。

 でも、・・・・・・

「繋がってるかどうか、わかんねーからいいんじゃねーの?」

「ええ?」

「好きになる気持ちは誰にも邪魔出来ない。誰にも止められない。
 報われないから、学べるって事も、あると思う。」

 本音は、報われないなんてマジでカンベンだけど。
 
 なんだよ、そんな顔して。

「ハヤテさん・・・・・・今、ちょっと素敵だった。」

「な、なな、なんだよ!」

「そんな事言うなんて、ちょっと意外!
 ハヤテさんに好かれる女の子は、幸せになれそうですね。」

 いーなー、羨ましーなー、なんて言いながら、甲板の灯りを次々準備していく。

 そんな、心にもない事さらっと言いやがって。

 オレの気も知らねーで・・・

 胸の奥が、ニガい。

 これが、ソウシさんの言ってた『切ない』ってヤツなのかな。
 
 言い寄られる事はあっても、口説く事はなかった。
 こんな時どうしていいのかわからなくなるなんて、情けねー・・・
 もっとたくさん女を口説いておけば良かった。
 そしたら、今、もっと、お前にこっちを向かせる方法がわかってたかも知れねーのに

 いや・・・・・・・・・

 そうじゃない

 きっと、お前以外、ものにしたいなんて思わない。
 だから、お前以外は誰も口説く気にならねーんだ・・・

「見て見て、今日の満月、あんな低いところにありますよ!大きーーい!」

「ああ、でけーな!今日は、オレたくさん食おっと!!」

「あはは!ハヤテさんはいつも食欲旺盛ですね!」

「お前もいっぱい食えよ!」

 たらふく食うと、襲いそうになるのを我慢出来る。
 最近気付いた。

「赤い糸か・・・・・・・・・」

「?」

「お前の糸がもし、繋がってなかったら、オレの指に結び直してやるよ。」

「ええ!?」

「だから、フラれても落ち込むな!」

「ちょっと、フラれるの前提で話をしないでください!」

「おーい、お前ら、料理運ぶの手伝え!」

「はーーい!!」

 すっ飛んでいく後姿を見ながら、
 オレがナギ兄に勝てる事、なんかあるかな、なんて思った。







END

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

片思いが一番似合わなさそうなハヤテさん。
たまーにイイコト言う印象です。



2010-09-19 (Sun) 23:18


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