恋に落ちた海賊王:ハヤテ

□黒いピン
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GREEハヤテをプレイ中に、
ハヤテさんは自分で髪を切るって言っていたので、散髪ネタを妄想してみました。



「黒いピン」
ヒロイン目線で。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


 きっかけは、ハヤテさんの一言だった。

 軽い気持ちでお願いした私にも責任はある。

 それに、こんなに落ち込む事じゃないっていうのもわかってる。

 ・・・・・・だけど。

「はぁ・・・」

 溜め息が夜風に流れて消える。

 甲板の心地好い風に少し気分も癒えてきたけれど、さっきから溜め息は数え切れない。

 1人静かな海を見つめながら、出来る事なら夕食後に戻りたいとぼんやり思った。

*******

 夕食後・・・食器を厨房に運ぶ準備をしながら、私は痒くてたまらなかった目をこすっていた。

「なんだ☆☆、もう眠いのかよ?」

 珍しく最後まで食堂に残っていたハヤテさんが、からかうように言う。

「違うんです、目が痒くって。最近すぐに目が痒くなるんですよ・・・」

「ふーん・・・。」

 目をこするのは良くないって、お母さんに叱られたっけなぁ・・・

 もう一度目をこすると、その手を、掴んで止められた。

「ハ、ハヤテさん?」

 びっくりして目を開けると、いつの間にかハヤテさんが立ち上がってそばまで来ていた。

 な、なに・・・・・・!?
 なんでそんなジッと見て・・・??

「お前、前髪が長いんだよ。」

「・・・え?」

 髪?
 どういうこと?

「ほら、前髪が伸びて目にかかってるから、痒くなるんだ。切れば痒くなくなるぜ?」

 あ、そういう事・・・・・・
 私を見てたんじゃなくて、髪を見てたんだ。
 ・・・びっくりした・・・・・・。

「そう言えば、船に乗ってから全然髪を切っていませんでした。・・・あれ、ハヤテさんは伸びてませんね、髪。」

「オレは自分でちょいちょい切ってるからな。」

「ええ、自分で!?」

 なんでもない事のように言ったけど、それってすごくない!?

 ハヤテさん、散髪上手!

 思わず、色んな角度からハヤテさんの髪を見てまわる。

「な、なんだよッ」

「すごい上手だなって・・・
 ・・・理髪師みたい。」

「別に、フツーだろ。こんくらい。」

 感心のあまりぽつりと独り言みたいに褒めると、ハヤテさんがちょっと赤くなった。

「お前も前髪切れば?ハサミ貸してやろうか?」

「え?いいんですか!嬉しい!・・・でも、私切った事ないから切れるかな・・・。」

「へぇ〜いつも店で切ってもらってたのか?」

「いえ、うちは貧乏だったんで。近所に、元理髪師のおばあちゃんがいて、皆の髪を切ってくれてたんですよ・・・」

 そのおばあちゃんの顔と一緒にお母さんや弟の顔も浮かんできて、ふと言葉に詰まった。

 思わず視線が落ちる。

 と、再びハヤテさんが私の手を取った。

「来いよ、オレが切ってやる。」

「わ、ちょっと・・・」

 そのまま手を引っ張られるようにして、私達は食堂を出た。

*******

 思い出して溜め息をつく。

 そっと前髪を指でつまむと、上目遣いで見ようと頑張るけれど・・・髪を視界に入れようとすると目が痛くなっちゃう。

 ハヤテさんの手によって無残に短くなった前髪。

 これは、失敗したと言って差し支えない出来だと思う。

 また、溜め息が出る。

 うん、まぁ・・・わかってる。

 ハヤテさんだって厚意でやってくれたんだし、他人の髪を切るのは初めてだって言ってたし、それに、所詮髪の毛。

 きっと、すぐに伸びる。

 そう、すぐに伸びる。

 私が釈然としないのは、ハヤテさんが素直に謝ってくれなかったからなんだよね、きっと。

 好きな人の前では可愛くいたいと思うのは我儘なんかじゃないと思うけど・・・・・・

 いつまでもいじけてちゃいけないとも思う。

 はぁ・・・・・・

 でも、部屋に戻るの、気まずい。

 再び溜め息をついた時だった。

 不意に横から手が伸びてきて、目の前に何かが突きつけられた。

「・・・わっ、・・・・・・ハ、ハヤテさん・・・」

 ハヤテさんが持っていたのは、ヘアピンだった。

「これ、やる。」

「・・・え、私に?」

「他に誰がいるんだよ。」

「・・・・・・ど、どうも・・・。」

 そっとピンを受け取って、初めて気付いた。

 ただの黒いヘアピンじゃない。

 暗かったのと、ハヤテさんの指に隠れていたのとで見えなかったけれど、それは、小さな宝石をちりばめるように細工がしてある飾りピンだった。

「綺麗・・・!」

 黒いヘアピンしか見た事がなかった私は、こんな可愛くて綺麗なピンがある事に、素直に感動した。

「貴族のお嬢様の為にあつらえたヤツらしいから、値打ちもんなんだぜ。」

「へぇ!素敵!!・・・でも、どうしてこれを私に?」

 顔を上げると、ハヤテさんがちょっと決まり悪そうな顔で視線をそらしてから頭を下げた。

「・・・その・・・・・・、悪かった、上手く切ってやれなくて。
 感覚が違うからよくわかんなくてよ。それで前髪留めたら、ちょっとは誤魔化せるだろ?」

「ハヤテさん・・・・・・」

 そっと私の手からピンを取ると、前髪を留めてくれた。

「お子様っぽいのは変わらねぇけど、さっきよりかはマシだな。」

「ありがとうございます。」

「・・・ん。・・・・・・もぅ、怒ってねぇか?」

 ほんとは、最初から怒ってはいなかったんだけど。

 ちょっぴり上目遣いなハヤテさんの顔が、すごくすごく、可愛くって。
 たまらなく愛しくなって、
 ・・・・・・失敗した前髪なんてどうでも良くなった。

 ちゃんと謝ってくれて嬉しい。

 私の為に、色々考えてくれて嬉しい。

 やっぱり、ハヤテさんが大好き。

「うふふ。もう許してあげます。」

 許すも何もないんだけど。

 嬉しさが押さえきれなくて、笑顔になってしまった。

「あははは!お前、生意気!」

 そんな事言いながら、ハヤテさんも笑顔。

 気まずい2人になる事もあるけど、こうして一緒に笑い合える。

 こんな風に小さな幸せを積み重ねて・・・いつかハヤテさんの隣が私の居場所になったらいいな・・・・・・







END


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

最近ハヤテさんばっかです。
今、GREEハヤテプレイ中なんで。
毎日遅々として進まないので、
もぅ数ヶ月ハヤテさんプレイしてます。
会話だけで攻略してるのと、
1日に2〜3回しか出来ないもんで・・・

余談。
アップしてからやっぱりこうしようかな、
ああしようかなって
悶々と迷って変えたりしてしまったので
日付優先は今後慎みます(TдT)

試行錯誤でごめんなさい。

何度も書いてるけど、
少しずつでも
完成度上がっていきますように・・・!!
ここに来てくれる人が、
幸せな気持ちになれる話が
書けますように・・・!!

精進します!!




2011-05-10 (Tue) 23:57


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