恋に落ちた海賊王:ハヤテ

□覚る
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恋人になる前設定。
前・後編。



「覚る 前編」
ヒロイン目線で。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


 シリウス号は珍しく雨の中を航海していた。

 次の港町に寄港する為にこの海域を避けては通れないらしく、出来るだけ早く抜ける為に、シンさんは毎日朝早くから夜遅くまで舵を取っているのだけれど、今日も朝から雨に包まれていた。

 もう陽も昇っている時間帯なのにランプが必要な程船内は薄暗い。それに、なんだかヒンヤリする。

 朝の仕込みをするナギさんを手伝って厨房と食堂を行き来していると、ソウシさんの姿を食堂に見つけた。

「おはようございます。肌寒いですね。」

「おはよう。結構冷えるね・・・雨のせいかな。」

 雨は静かに食堂の窓をつたい流れ、止む気配もなく降り続いていた。

 ふと、甲板の方に鈍い灯りを見つけたような気がして、私は窓に手をついた。

「・・・どうかした?」

 ソウシさんも一緒になって覗き込む。

「甲板に、・・・あれ、ランプの灯りじゃないですか?」

「・・・本当だ。誰かこの雨の中出てるのかな?あ、ほら、かすかに雨衣が見えるね。」

 え?見えるの!?

 ソウシさん目がいいなぁ・・・・・・。

「トワかハヤテが、甲板で何か作業してるのかもしれないよ。」

 私と目が合ったソウシさんはそう言ってにこっと笑った。

「そ、そうですか、・・・。」

 ソウシさんに合わせて笑顔を返したものの、この寒い中、雨に打たれているのが誰なのかものすごく気になって仕方がなかった。

 厨房から食事を運び終わる頃、シンさんが雨具を外して食堂へ入ってきた。

「お疲れ様、シン。」

 ソウシさんがシンさんに大判のタオルを渡す。

「ありがとうございます。」

 シンさんが濡れた体をタオルで拭きながら席に着いた時、トワくんと船長もやってきた。

「あと来てないのはハヤテだけだね。」

「・・・そう言えば、甲板で何かしてましたね。」

 ソウシさんの言葉に、シンさんが応える。

 やっぱり、甲板に出てたのハヤテさんだったんだ。

 私は咄嗟にランプを手にとった。

「あの、私、呼んできます!」

「えっ、☆☆ちゃんが・・・?」

 ソウシさんの驚いた声と同時にトワくんが立ち上がったけれど、私はもう雨具を手に、足は甲板へと向かっていた。







to be continued → last heroine eyes


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2013-06-25 (Tue) 23:35


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