恋に落ちた海賊王:ソウシ
□Dilemma
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「もしも、偶然秘密を目にしたら」という妄想をしてみました。
恋人になった後、という設定で。
全8話。
「Dilemma 1」
ソウシ目線で。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
シリウス号は商船を装い、久し振りの港町に寄港していた。
その日、私は探したい薬品があり、1人裏通りを歩いていた。
一緒に来たいという☆☆ちゃんをナギと買い出しに行かせた事は、少し残念な気もしたが、やはりナギに預けてきて良かった。
こういう通りはあまり女の子には歩かせたくない。
この港には数日滞在する予定だから、また別の機会に2人でゆっくり散策にでも来ればいい。
明らかに非合法な店も数軒回り、目当ての物を無事入手した私は、一旦船に戻る事にした。
途中、ヤマトの民族衣装を着た男達とすれ違う。
・・・珍しいな・・・・・・
そう思ったが、すぐに思い出した。この港は、ヤマトとの交流の盛んな港だった。
ヤマトの品物も数多く置いているに違いない。
後で、☆☆ちゃんの服を見立ててみよう。質の良いヤマトの衣装が見つかるかもしれない。
そんな事を考えながら港まで戻ってきた時だった。
・・・あれは・・・・・・?
☆☆ちゃん?
港に立ち並ぶ倉庫の一画に、☆☆ちゃんを見つけた。物陰に半分姿が隠れているが、間違いない。
私もめざとくなったものだ。
こんなふうに、遠くからでも愛しい姿を見つけられる。
それにしても、あんなところで何を・・・?
ナギの姿は近くにはないようだけど・・・・・・
声を掛けようと近づくにつれ、☆☆ちゃんの様子がおかしい事に気付く。
・・・揉めている?
奥に、男の姿が見えた。
瞬時にのんびり気分が吹っ飛ぶ。
機敏に身を隠し、相手と状況を観察しながら、徐々に近寄り間合いを詰める。
男は1人。ヤマトの衣装を着ている。
・・・若いな。年は、ハヤテくらい・・・?
男は☆☆ちゃんの手を取って、何か必死に話しかけているように見えた。☆☆ちゃんは、時々首を振って何かを訴えている。
2人の間に漂う雰囲気は見知らぬ人間同士のものではなく・・・・・・2人で何か深刻な話をしている、という感じだった。
しかし、2人とも声を小さく低くしていて、もう少し近づかないと内容が聞き取れない。
と、その時、私の背後から声が響いた。
「お〜い、なにやってるんだ?この積荷、運ぶの手伝ってくれよ!!」
咄嗟に、身を引いて物陰に潜む。
呼びかけた声に反応して、☆☆ちゃんの手を取っていた男が、返事をした。
「すまない!今行く!」
そして、少し声を落として、
「明日もこの時間にこの場所で。いいね?」
そう言うと、私の前を横切って走り去って行った。
・・・なんだ?今のは。
声を張った直後だったせいか、その後にひそめた声も、しっかり聞き取れた。
どういう知り合いなんだ・・・?
男の姿が見えなくなったのを確認して、そっと物陰から出る。
次の瞬間私が目にしたものは、顔を手で覆い忍び泣いている☆☆ちゃんの姿だった。
to be continued
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2011-07-13 (Wed) 23:26
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