恋に落ちた海賊王:番外
□ハヤテとナギ兄
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ナギとヒロインが結ばれた後の設定で
ナギとハヤテのやりとりを妄想してみました。
ヒロイン出てきません。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
ハヤテは剣の手入れを終えると、鏡のように美しく滑らかな刃に厳しい視線を走らせた。そして納得したように表情を緩めると鞘に納めた。
寝る前の習慣を済ませたせいか、気持ちは幾分落ち着いている。
「寝るか。」
道具を片付けてから、ぐっと背伸びをして・・・・・・何か思いついたように部屋を出ると厨房へと向かった。
厨房からは灯りが漏れていた。
近づくと同時に、シュッ、シュッという小気味の良い音が等間隔で聞こえてくる。
そっと中をうかがうと、包丁を研いでいるナギの姿が見えた。
「・・・・・・」
昨日も、一昨日も、ナギは今までと変わらずに1日の終わりに自分の道具の手入れをしていた。
やっぱり、今日もしてた。
ハヤテの顔に、かすかに笑みが浮かぶ。
『一流の料理人かどうかは包丁を見れば分かる。』
不意にナギの声が頭に蘇る。
『お前が一流の剣士かどうかも、お前の剣を見れば分かる。』
ナギにそう言われた日の事をぼんやりと思い出した。
あの時のナギと、今のナギでは、置かれている環境が180度変わってしまった。その事について思いを消化出来ずに悶々としていた自分を、少し恥じた。
ナギ兄は何も変わっていない。
そう思うだけでなんとなく嬉しくなった。
「ハヤテか。何してんだ?」
「わッ・・・びっくりした!」
「腹でも減ったのか?」
急に声を掛けられて驚くハヤテを背に、ナギが穏やかに聞きながら砥石を収納する。
「・・・あ、いや、その・・・寝る前になんか飲みたくなって。」
「喉渇いてんのか。」
「えっとそういうわけじゃねーけど・・・」
要領を得ない回答をするハヤテに怪訝な視線を投げながらも、ナギはやかんを火にかけた。
「カモミールティーとかいうのがあるが、飲むか?」
「なにそれ。」
「リラックス効果のあるハーブティーだ。寝る前に飲むならちょうど良いぞ。」
「・・・ふーん。」
そんな小洒落た飲み物はきっとあいつの好みだと思うと、ちょっと面白くないような気もしたが、断るのもおかしい気がして飲む事にした。
「ナギ兄はさ、・・・」
「ん?」
「・・・毎日包丁研ぐんだな。」
カップを用意していたナギは、驚いたような呆れたような顔をしてハヤテを見た。
「・・・お前だって毎日剣を磨くだろ、それと一緒だ。」
へへッと笑いながら、ハヤテはくすぐったいような気持ちになった。
ハヤテが剣の手入れを毎日の習慣に出来たのはシリウス号に乗ってからの事だった。もっと言えば、ナギの包丁に衝撃を受けてからだ。
自分の剣を見た時に一流の剣士だと思わせたい、それが始まりだった。
もっとも、ナギの方は自分の言動がハヤテに影響を与えた事に気付いている節はなかったが。
「熱いから気を付けろ。」
ナギが出してくれたカモミールティーを飲みながら、胸の複雑なモヤモヤが晴れていくような気がした。
ナギ兄はナギ兄だ。変わらない。ハヤテは心からそう思った。
「・・・良い匂いだな。」
「ぐっすり眠れるぞ。」
「これ、部屋に持ってって飲んでもいーか?」
「別にいいが・・・ここで飲んでかねーのか?」
「この気分のままベッドに入りてぇんだ。」
ハヤテの無邪気な笑顔に、ナギも笑って応えた。
「朝イチでカップ持って来いよ?」
「わかってるって!おやすみナギ兄!」
END
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ナギがヒロインと結ばれたら
ヤキモチめいた気持ちが起こりそうなのは
ハヤテかなぁと思った事と
ハヤテがナギを
「ナギ兄」と呼ぶようになったエピソードを
妄想していて出来たお話です。
ヒロイン抜きのシリウス男子の妄想も
楽しい♪
2012-01-07 (sat) 20:20
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