恋に落ちた海賊王:番外

□Who will you fall in love with?
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「Who will you fall in love with?
 episode nagi&soushi」
ヒロイン目線で。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


 甲板に出ると、船の縁のところにいるハヤテさんとナギさんの姿が目に入った。

 ナギさんは何か箱を持っていて、ハヤテさんは腰に剣を差したまま、木刀を手にしている。

 立ち話をしてるのかな・・・?

 二人は何か話をしているようだけれど、声はここまで届かない。

 と、ハヤテさんが、ナギさんが持っている箱の中身を覗き込むような仕草をして何か言ったとたん、ナギさんが笑った。

 ・・・わぁ!!

 ナギさんが、わ、笑ってる・・・!!!!

 視線が釘付けになる。

 笑ったナギさんが何かハヤテさんに返事をすると、ハヤテさんが笑い声を上げた。

 楽しそうな声がここまで聞こえる。

 な、何を話してるんだろう!?

 っていうか、ハヤテさんがあんなに笑うなんて、ナギさん何を言ったの!?

 二人に入っていけない私は、その場から動けずにじっと見守る。

 胸が、ドキドキしていた。

 私も、あの会話に加わりたい・・・!

 ・・・けど、二人の楽しそうなあの無邪気な雰囲気は、きっと、私が入っていったら壊れる・・・・・・

 もう少し、見ていたい。

 そっと足を引いて体を隠した。

 ナギさんって怖い怖いと思っていたけど、ほんとはあんな穏やかな目をしてるんだな・・・。
 無邪気に笑うハヤテさんを見る瞳が、あんなに優しかったなんて知らなかった・・・。

「わっ・・・と、ごめん!」

 ソウシさんの声と背中に衝撃を感じるのとは、ほぼ同時だった。

 バササっと本が数冊落ちる。

「ごごごごめんなさいッ!」

 出入口で突っ立ってたから・・・!!

 慌てて振り向きざまにしゃがんだ私と、本を拾おうとして手を伸ばしたソウシさんの、お互いのオデコに火花が飛んだ。

「・・・ッ!!」

「ぅ!」

 激痛に、二人ともしばし沈黙する。

 先に口を開いたのはソウシさんだった。

「だ、大丈夫?」

「・・・は、はい・・・」

 恥ずかしくて、すぐには顔を上げられなかった。

 すっと伸びてきた手が、額に触れる。

 くすくす笑う声が聞こえてきた。

「・・・」

 顔を上げると、ソウシさんが笑いをこらえ切れないといった感じで笑いながら、

「痛かったね。」

 と言った。

 その一言で、その場の雰囲気が一気に柔らかく優しいものになる。

 額のズキズキが胸のドキドキかと錯覚するほどだった。

「い、痛かったです・・・」

 言いながら、私も笑えてきた。

 ソウシさんって空気を和ませる。この人の周囲に漂っている雰囲気が優しいからかな・・・・・・。







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■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


2012-05-29 (Tue) 21:51


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