恋に落ちた海賊王:ハヤテ

□emotion
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「emotion 2」
ヒロイン目線で。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「どうかしたんですか?」

 何だかそのまま去りがたくて。
 思い切って、声を掛けてみた。

「なにがだよ。」

「えっと、元気がないみたいだから・・・」

「・・・元気がないっつーか・・・・・・。なーんか、やる気が出ねぇんだよな。集中できねぇっていうか。」

 そう言って、突然大きく伸びをした。

「お前なら、こういう時どうする?」

「私ですか?・・・うーーーん・・・・・・・・・あ、そうだ、座禅とかどうですか?」

「ざぜん?」

「はい。ヤマトでは、剣豪がよく精神統一の為にやるって・・・確か、お祖母ちゃんから聞いた事があります。」

「へえー!よっしゃ、じゃあお前教えろよ。今からやる。」

 ニコニコ顔のハヤテさんが、私の手を引っ張って甲板へ出る。

 甲板では、ナギさんとトワくんが釣りをしていて、ハッとした。

 食材の為かな?私も手伝わなくって大丈夫かな・・・?

「で?どうやんだ?」

 ハヤテさんの声に我に返る。
 でも、見てたの気付かれてないみたい・・・よかった。

「えっと、私も詳しくは知らないんですけど・・・じゃあ、まずあぐらをかいてください。」

「おう。」

「そうしたら、足を・・・」

 ハヤテさんの左足首を掴んで、右足の付け根に置く。
 
 さらに右足首を掴んで左足の付け根に置こうとすると、ハヤテさんが声を上げた。

「いーでででで!無理無理!無理だって!」

「でもこれが座り方なんです。」

「初心者なんだから加減しろっての。」

「じゃあ、左足を乗せるだけでいいか・・・。背筋を伸ばして、顎を引いてください。」

 私の言う通り素直に従うハヤテさんが、何だか新鮮で可愛い。

 姿勢をチェックして、両脚の周りの衣服を整えようと手を伸ばす。

「な!おま、ひ、昼間だぞ!」

「え?・・・・・・!!ち、ちがッ!もう!!服のしわを整えようとしただけですよ!!もぅ!いいです、しわくちゃのままで!」

 ハヤテさんこそ!昼間っから何考えてるんだか!
 もう!あたふたしちゃったじゃない!

「てっ、手を、足の上で組んでください!」

「手を組む?」

「手のひらを上向きにして、組んだ足の上に置いたら、もう片方の手を同じようにして手のひらの上に置いて・・・」

 ハヤテさんの手を取って、説明する。

「力を入れずに、ふんわりと。」

「なんだか、決め事が多いな。」

「まぁ、作法ですから。その形で、目は閉じずに心を無にするんです。」

「・・・・・・・・・」

 とは言うものの、座禅って屋外でするもんなのかな?

 薄暗い道場でろうそくの灯りをともして、1人静かに瞑想するようなイメージなんだけど・・・私も正しい作法を知ってるわけじゃないし・・・
 
 ・・・甲板は、太陽の光が燦々と照っている。

 うーん・・・倉庫でする方がいいかな?

「心を無にするって、難しいな。」

 あっという間に姿勢を崩して寝転ぶハヤテさん。

 ハヤテさんって、座禅向いてないなぁ。うふふ、じっとしてない感じだもんね。
 あれ、そういえば・・・座禅って・・・

「確か、心が乱れたら喝を入れたような・・・。」

 甲板を見渡す。

 あ、あった、デッキブラシ。
 これじゃちょっと痛いかな。でも、他に適当なのがないし。

 デッキブラシを手に持ってハヤテさんのところに戻る。

「なんだよそれ。」

「ちゃんと座ってられない人の肩を、これで叩いて喝を入れるんです。」

「はっ?!」

「そういう決まりなんですよ。」

「ちょ、待て、デッキブラシでどつくのはやり過ぎだろ!」

 寝転んでいたハヤテさんがぎょっとして起き上がる。

「でも、そういう決まりなんですって。」

「お前!マジかよ!」

「座ってください、ハヤテさんがやるって言ったんですよ?」







to be continued 


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


2011-04-21 (Thu) 21:55


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