恋に落ちた海賊王:ハヤテ

□emotion
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「emotion 3」
ナギ目線で。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


 さっきからギャアギャアうるせーな・・・魚が逃げんだろ・・・

 振り返ると、ハヤテと☆☆が甲板に座り込んで何か騒いでいた。

「あ、ナギさん、あれって座禅ってヤツですかね?」

「ああ?」

「ヤマトでの精神統一作法だって聞いた事があります!僧侶や剣豪達がするんだとか・・・」

「へぇ。」

 トワが釣りそっちのけで、混ざりたそうに見つめている。

「お前も座禅がしてぇのか?」

「え?いえ、僕は。お二人の邪魔しちゃ悪いですし・・・。」

「別にいいだろ、二人一組でやるもんでもねーだろーし。」

「・・・・・・」

 ぽかんとするトワをこっちもぽかんと見返す。

「なんだ?」

「い、いえ・・・僕の言ったのはそういう意味じゃなくって・・・」

「・・・他に意味があんのか?」

「ええ、そりゃ・・・だってハヤテさんは・・・」

「お前!マジかよ!」

 トワの声を掻き消して、ハヤテの声が飛んでくる。

 思わず、トワも俺もハヤテを見た。

「☆☆さん、デッキブラシ持ってますね・・・。なんか、ハヤテさんを牽制してません?」

「どうでもいーが、うるせー。魚が逃げる。」

 ハヤテの野郎、元気じゃねーか。
 朝飯の時はいつもより元気がねぇように見えたが、気のせいだったか。

 背後でハヤテと☆☆のやり取りを聞きながら、凪いだ海に釣り糸を垂らす。

「あのぉ・・・ナギさんは、その、どう思います?」

「は?何の話だ?」

「えっと、☆☆さんはナギさんと相部屋だし、ナギさんとしてはやっぱり・・・・・・わぁ!☆☆さん!」

 トワが声を上げて立ち上がると、ハヤテ達の方へ駆けていく。

 あーーーもぅ、なんだってんだ。
 ゆっくり釣りも出来やしねぇ。

「コラお前ら、うるせーんだよ。」

 ☆☆が振り上げていたデッキブラシの柄を、後ろから掴む。

「なっ、ナギさん!!」

 振り返った☆☆が顔を真っ赤にした。

 さっきまでなんだかんだ楽しそうにしてたハヤテの顔が、急に曇る。

 ・・・・・・なんだ?

「釣りの邪魔すんな。」

「ご、ごめんなさい!・・・ハヤテさんに座禅をしてもらってて・・・。」

「座禅でなんでデッキブラシなんて持ってんだ。」

「えっと・・・・・・心の緩みを警める為に肩を打つんですけれど、デッキブラシくらいしか柄のあるものが見当たらなくって・・・」

 ☆☆が真っ赤になりながらも、説明する。

「・・・とにかく。やるならもっと静かにやれ。だいたい、座禅は静寂に包まれてやるもんじゃねーのか?」

「そ、そうです・・・」

「あの、倉庫でやるのはどうですか?」

 トワの提案に、☆☆がハヤテを振り返る。

「私もさっきちょっと思ったんですよね。倉庫の方が、雰囲気的に座禅がしやすいかも。どうですか?」

「え?オレ?」

「ハヤテさんがしたいって言ったんですもん。」

「・・・あー・・・そうだな・・・」

 なんだ?
 ハヤテのヤツ、急に声に張りがなくなりやがったな。

「ここじゃうるせーから、倉庫でして来い。」

 精神統一ならハヤテの為にもなりそうだと、とりあえずトワの提案を推してやった。

「ついでにトワも行くか?」

「え?」

「僕?」

 ハヤテとトワが同時に俺を振り返る。

「さっきしたそうに・・・」

「いぃ、いいえ!ぼ、僕はいいんです!また、別の機会に!釣り、してますから!」

「お前何泡食って・・・コラ、押すなトワ」

 言いかける俺の背中を押しやりながら、トワが釣りに戻る。

「すみません、お邪魔しましたーー」







to be continued 


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


2011-04-22 (Fri) 19:00


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