恋に落ちた海賊王:シン
□In essence
2ページ/3ページ
「In essence 2」
シン目線で。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「シン、明るいうちに島に寄れそうか?」
舵を取るオレの傍にふらりと船長がやってきた時には、すでに太陽は夕日となっていた。
「・・・風が良くないので難しいですね。到着は明日になりそうです。」
「そうか。よし、浜辺での宴は明日のお楽しみにして今夜は甲板で宴にしよう!気候は既に南国だからな!」
「わかりました。適当なところで錨を下ろします。」
海図を取り出し停泊位置を決めていると、甲板がやかましくなってきた。
宴の準備が始まったようだ。
日が落ちてくると、暑さは幾分和らぎ頬に受ける風もだいぶ涼しい。
この分なら甲板での宴も暑苦しくは無さそうだ・・・。
「・・・・・・」
昼間トワと甲板掃除をしていた☆☆が、ハヤテと一緒に甲板に灯りを準備している。
ハヤテの胸元がだらしないのはいつもの事だが・・・
まさかあいつは昼からあのままの格好なのか。
溜め息とともに、言葉にし難い苛立ちが頭をかすめる。
「シンさん!お手伝いに来ましたッ!」
「・・・今日はここでアンカーだ。」
にこやかに登場したトワは、一瞬険しい空気に言葉を詰まらせたがすぐにいつものように元気よく返事をすると、錨泊の準備の為甲板に下りて行った。
その姿を追うようにオレも甲板へと向かう。
甲板に出たところでハヤテとすれ違い、船内へ入る姿を見送った。
続いて☆☆が小走りでやってくる。
「シンさん」
オレの姿に気が付くと、☆☆の顔には笑みがこぼれる。
あからさまに尻尾を振ってくる様は悪くない。
が、同時に☆☆の胸元が目に留まりオレの視線は冷ややかになった。
「・・・シャツは首元までボタンを留めろ。」
「ぇえ?で、でも暑いですし・・・・・・」
オレの不機嫌な空気が伝わったのか、☆☆は困惑したように自分のシャツとオレを交互に見る。
自覚がないというのは、本当にタチが悪い。
「普段きっちりしていると、たまに緩めた時に効くぞ。」
「え??」
「・・・・・・」
頭にハテナが飛んでいる☆☆を無言で見つめたまま、少し顔を反らして首元のスカーフをしゅるりと抜き取った。
その指で、シャツのボタンをひとつ、ふたつ、と外す。
顎を少し上げてはだけた胸元を強調した。
それから、つと☆☆に視線を絡めて口の端に笑みを浮かべて見せる。
「ほらな。」
「ッ!!」
真っ赤になった☆☆は目から星でも出しそうになりながら硬直している。
その姿はオレを十分に満足させた。
「普段きちんとしていればこそだ。」
そう言いながら襟を正しスカーフを巻きながら立ち去る。
ちらりと視線を後ろに送ると、真っ赤になったまま指をぎこちなく動かして、素直にシャツのボタンを留めている☆☆の姿が視界に入り、尚気分が良くなった。
お前の肌は、オレだけが見ればいい。
to be continued → last shin eyes
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
2013-02-12 (Tue) 14:39
恋に落ちた海賊王Ranking!