恋に落ちた海賊王:ソウシ

□ふりゆくものは
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「もしも、同室でヒロインに片思いだったら・・・」を、ソウシでも妄想してみました。


「ふりゆくものは」
ソウシ目線で。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「ソウシさん、この瓶はどうしましょう。」

 のどかな昼下がり。

 私と彼女は、医務室で棚の整理をしていた。

「ああ、そこにあるものはこの棚に移して欲しいんだ。」

「はい。」

 私の指示にテキパキと動く彼女を見て、自然と微笑みが浮かぶ。

 手伝いをしてもらう事に、お互い随分慣れた。

 始めの頃はどうなる事かと気を揉んだものだけど・・・

 いつの間にか、彼女とこうして過ごす時間が私に張り合いを与えるようになってしまっている事に、戸惑いと戒めの思いが交錯する。

「ソウシさん、いる?」

 ノックと同時にハヤテが入ってきた。

「どうした?」

 びっこを引いてるな。捻ったか?

「足、くじいたみたいで・・・」

「どれ、見せてごらん。」

 うん、軽い捻挫だな。

 氷を用意してハヤテに渡す。

「これで少し冷やして。出来たら固定した方が良いんだけど・・・」

 確かテーピング用の布があったはず・・・と、棚を探す。

「大丈夫ですか?」

「ああ、たいした事ねぇ。」

 背後で聞こえる会話に、一瞬手が止まる。

 出来るだけ自然に振り向いて、布でハヤテの足首を固定する。

「捻挫は癖になりやすいからね。夕飯までそこのベッドでこうして固定して冷やしときなさい。」

 私がそう言うと、彼女が医務室のベッドを整える。

「どうぞ、ハヤテさん。」

「そんなに長い間座ってらんねーよ・・・」

 溜め息をつくハヤテに、彼女が本を渡した。

「暇つぶしにどうぞ。これ、すごく良いですよ!」

「本かぁ・・・オレこういうの、眠くなんだよなぁ。」

「そんな事ないですよ、騙されたと思って読んでみてください!」

「どんな話なんだこれ。お前、あらすじ教えろ。」

「これはですね、」

 彼女がハヤテの隣に座って、説明を始める。

 楽しそうな笑顔に見え隠れするはにかみ。
 恋をしている瞳。

 その視線に応えるハヤテもまた、・・・・・・・・・

 私には、立ち入れない境界線。

 視線をそらして、気付かれないようそっと外へ出る。

 愛される資格のない私は、その境界線を越えてはならない。
 いたずらに彼女の心を乱してはならない。

 愛し愛される幸せは、若い二人のもの・・・・・・

 勢いにまかせて誰かを夢中に愛する事は、若さの特権だ。
 尻込みしてしまう私は、もう若くはないと思い知る。

 音が鳴らないように閉じたドアにもたれて、そっと目を伏せた。







END


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

ソウシさんで何か書いてみたくて、
片思い妄想してみました。
・・・とはいえ。
あたし、
ソウシさんに恋愛感情がわかないんですよ・・・
シリウスの方は全員大好きなんです!!
大好きなんですよ!!
もちろんソウシさんも大好きなんです!!
でも「大好きなおにいちゃん」って感じで。
なので難しかった。
すっごい難しかった。
ソウシさんぽくまとめたつもりだけど・・・
もう書けないかも・・・(´*ω*`)

そうそう、難しかったので
足がかりとしてお題を頂きました。
「capricco」(PCサイト)

タイトルの「ふりゆくもの」は
百人一首の
「花さそふ嵐の庭の雪ならで
ふりゆくものはわが身なりけり」
という歌の一部分です。
お題として成り立っているかどうか
微妙な出来ですが
そこは目をつぶってくださいませ。

美しくて切ない歌です。
あたし、古典が結構好きで、
百人一首は、百首すべて暗記した事が
あります。
(今はもう忘れてるけど)
スキだからって、
詳しいわけじゃないのが
悲しいところなんですが。
最後に、歌の意味を載せますので、
興味のある方は読んでみてくださいね。




2011-04-16 (Sat) 00:21


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百人一首96番
「花さそふ嵐の庭の雪ならで
 ふりゆくものはわが身なりけり」
  作者 入道前太政大臣

【現代訳】
桜の花を誘って吹き散らす嵐の日の庭は、
桜の花びらが
まるで雪のように降っているが、
実は老いさらばえて古りゆくのは、
私自身なのだなぁ。

【解釈】
花さそふ
 花:通常「桜の花」を指す。
 意味 → 嵐が桜を誘って散らす
嵐の庭の雪ならで
 嵐:山から吹きおろす激しい風のこと。
 雪:散る花びらを雪に見立てたもの。
  「なら」は断定の助動詞。
  「で」は打消の接続助詞。
 意味 → 嵐が吹く庭の雪ではなくて
ふりゆくものは
 「ふりゆく」は、
  桜の花びらが「降りゆく」
  作者自身が「古りゆく(老いていく)」
  を掛けた掛詞。
我が身なりけり
 「なり」は断定の助動詞。
 「けり」は感動を表す助動詞。
 今気が付いた、と発見した気持ちを表す。

参考文献 → http://www.ogurasansou.co.jp/site/hyakunin/096.html
(PCサイト)




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