恋に落ちた海賊王:ソウシ
□あなただけを。
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全6話。
「あなただけを。 1」
ヒロイン目線で。
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「はぁ・・・・・・」
医務室で薬品を揃えながら、大きなため息をついた。
どうしようもない葛藤が私を蝕む。
「☆☆ちゃん、準備どう?」
不意に、空箱を抱えたソウシさんが医務室に入ってきた。
「これに必要な薬品を入れて・・・、・・・どうかした?」
ソウシさんは、私の表情のささいな変化を見逃さない。
「いえ!他に何が必要だったかなって・・・。これだけ準備したんですけど、足りないものありますか?」
私はまとめていた薬瓶をソウシさんに見せながら、医務室の棚を振り返る。
うまく誤魔化せたかな・・・?
「そうだね、消毒できるパットをひとつ持って行っとこうかな。」
ソウシさんも、医務室の棚から備品を取り出す。
準備した薬品を箱に入れて、一緒にシリウス号の前に張られている簡易テントに運び込んだ。
昨日から、シリウス号は初めて寄る港に停泊している。各自買い出しやら偵察やらに出払っていた折、トワくんがこの港ではお医者様の数が足らないらしいという噂を聞きつけてきた。
そして、ソウシさんはシリウス号の前に、臨時の診療所を開いた。
第1日目の昨日は大盛況で、とても1日では診きれなかったので、この港に停泊している間は、毎日臨時診療所を開く事になったんだけど・・・・・・。
「あの、もうやってますか?」
臨時診療所にいるソウシさんに、一人の女性が遠慮がちに声を掛けてきた。
私とソウシさんが同時に振り返る。
「どうしました?」
ソウシさんはすぐさま話を聞きに行く。
「実は昨日も並んだのですけれど・・・」
女の人はそんな風に言いながら、巻き毛を少し整えるような仕草をして上目遣いにソウシさんを見る。
「ああ、それはすみませんでした。緊急なようなら今手当出来ますが、どうされました?」
私は少し離れたところで薬品を並べる作業に戻りながら、こっそり溜め息をついた。
これなんだよね、私の憂鬱の原因。
・・・・・・・・・確かに、この町はお医者様が足りないのだと思う。
もっとちゃんとしたところで診てもらうべきなのにと、辛そうにソウシさんが呟いた患者さんも、たくさんいた。
けれど、今の人は、どう見てもソウシさん目当てだ。
昨日もソウシさん目当ての人はたくさんいて、そのうち一見しただけで判別出来るようになってしまった私は、正直うんざりしていた。
ああいう興味本位の人は、ここへ来ないで欲しい。
ソウシさんだって、適当にあしらってさっさと帰してしまえばいいのに・・・・・・。
to be continued
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2012-07-27 (Fri) 23:29
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