恋に落ちた海賊王:リュウガ
□境界線
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「境界線 3」
リュウガ目線で。
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ナギの手伝いをして食後の食器を厨房へ運ぶ☆☆から、窓の外の波へ視線を移した。
良い天気だ。海も静かで、驚くほど穏やかだ。
それなのに、この不調感はなんだ。
これじゃーまるで娘を手放す男親の心境じゃねぇか?
まったく・・・ガキには情が移っていかん。
溜め息と共に、シンを振り返る。
航海室へ呼び出そうと口を開く前に、ハヤテが☆☆に話しかける声が耳に飛び込んできた。
「だからお前に頼んでんだろ?」
「えっと、その・・・この後約束が・・・」
「約束?」
「約束っぽいというか、なんというか・・・」
「なんだよハッキリしねーなー。」
俺は立ち上がっていた。
「☆☆は俺と町へ行くぞ。」
後ろから☆☆の肩を抱いてそう言うと、ハヤテも☆☆も驚いたように俺を見る。
「リュウガ船長!」
「朝約束しちまってな。」
「ええッ、そうなんすか?じゃあ船番はトワっすか?オレはナギ兄に買い出し頼まれてっし、備品の買い出しもあるんですけど・・・」
「ああ、じゃあ私が船に残るよ。」
振り向くとソウシがニコニコと立っていた。
「薬品の不足分はないし、ひとつふたつ買ってきて欲しいものはあるけど、トワにもわかるから。」
ね、と言って笑うソウシにその場をまとめられて、船番はソウシに引き受けてもらう事になった。
シリウス号は無事港に停泊し、ハヤテとナギは食品の買い出しに、シンは換金の為に町へと解散した。
トワに何やらメモを渡して説明しているソウシに挨拶をして、俺と☆☆は町を散策する為に船を降りたが、☆☆が遠慮がちに船を振り返る。
「良かったんでしょうか。私、皆さんと買い出しに行くべきだったんでは・・・」
「なんだ買い出しに行きたかったのか?」
「い、いえ。そういうわけじゃ・・・」
「なら気にするな。それより、欲しい物は決まったか?」
「そう言われても・・・・・・」
☆☆は考えるようにして俯いたあと、俺を見上げた。
「急に、どうしたんですか?」
「・・・女ってのはアレが欲しいコレが欲しいってすぐに言うじゃねぇか。お前にも欲しいモンくらいあるだろう。」
笑って誤魔化しながら、☆☆の背中にすっと手を添えて歩き出す。
納得しない顔ながら☆☆も抵抗せずに歩き出した。
餞別だとは口に出来なかった。
それを言えば、次に切り出す話題は自然と決まる。
楽しい雰囲気のまま買い物がしたかった。
to be continued
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2012-04-28 (Sat) 00:45
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