短編
□歪ンデ、狂ッタ、彼ヲ愛シテ
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バシャ
顔面に水をかけられて眠りから覚まされる
目を開けるとメフィスト様の顔があって
手と足を拘束された私がいて
あぁ今日も悪夢が始まるのかと思い
絶望とも諦めとも違う感情が心を満たす
「おはようございます☆」
この起こし方も恒例になって来たな
「おはようございます。メフィスト様」
喋るたびに口内がずきずきと痛む
そういえば昨日殴られて切ったんだった
カチャリと拘束を外される
「はい、早く仕度してください。・・・5分以内にしないとお仕置きですよ?」
無理だと分かっていてこの人は言っているのだ
「了解しました」
けれど了承しておかねば今ここで何かしらの“お仕置き”がくるのだ
×‐×‐×‐×
絶対的な無理難題を押しつけられた私は五分後殴られた
「私は貴女に五分以内と伝えましたね?」
「はい」
「ではなぜオーバーしたのですか?」
「申し訳ありません、メフィスト様」
私は跪いて謝罪の言葉を述べる
するとメフィスト様はしゃがんで
私の髪をつかみ無理やり顔を上げさせた
そして噛みつくようにキスをされる
舌が入り込み昨日の傷口をなぞる
「・・・っ!!」
痛みでビクリと体が反応する
すっと離れるとそのまま抱きつかれた
「貴女は私だけの物です、美空」
少し強めの力で抱きしめられ
メフィスト様に付けられた傷と言う名の愛情
表現は悲鳴をあげる
どんなに痛くても私は彼から離れられない
痛いのは大嫌いだ。それでも
それでも、私はメフィスト様の傍にいたいと思う
だって私にはメフィスト様しかいないから
歪ンデ、狂ッタ、彼方ヲ愛シテ
たとえ彼に殺されてもそのこと自体に私は恨んだりしないだろう
どんなに歪んでいても自分を愛してくれた人に殺されるのだから
でも、もし願いが叶うならば
ただ真っ直ぐに私を愛して欲しい
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