短編

□鎮魂歌‐レクイエム‐
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私があの人に会ったのは数年前


悪魔に追われているときのことだった


とある廃屋に逃げ込んだ私を彼は助けてくれた


藤本獅郎さん。通称藤本神父


私の命の恩人、愛しい人


助けてもらった次の日から私の藤本さんの家の教会通いが始まった





「お、美空今日も来たのか?」


「えぇ、毎日来ますよ」


「こんなところに来てつまらなくないか?」


「いえ、そんなことは無いですよ?それに、ここは結界もあって安全ですから」


「んーまぁ・・・それもそうだな!」





そう言ってニカッと笑って私の頭をなでてくれる



「そうだ美空、あの鎮魂歌また歌ってくれないか?」


「いいですけど、面と向かって歌うと恥ずかしいですね」


「なんでだ?」


「あーっと、あれはですね・・・わ、私が作ったというか・・・昔聴いたことのあるやつを私風にアレンジしたものと言うかですね・・・」





そんな風に私がごにょごにょと言葉を濁していると藤本さんは驚いた風に・・・


というか、本気で驚いて言った





「そうなのか?!綺麗な歌詞だな。あの鎮魂歌」



彼は優しく、優しく微笑んだ



「なぁ##NAE1##。俺が死んだときはあの鎮魂歌を歌ってくれないか?」


「え・・・?」


「俺が安らかに眠れるように、歌ってほしいんだ」



少し悲しそうな顔で彼は笑った



「っ・・・」



よほど私は不安そうな顔をしていたのだろう、藤本さんは慌てて付け足した



「いや、俺も死ぬ気はないけど仕事柄、な」



約束してくれるか?そう言ってそう言って彼は小指を出してきた



「勿論です」



私はそれに自分の小指を重ね、指切りをした
そんなことが起こらないように、と願いながら






だけど






そんな願いはもろくも打ち砕かれた























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