短編

□美味しい時間
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「あ。」



無い


バックに入れておいたはずのクッキーが無い



「塾の中、かな?」



祓魔塾の中でバックをあさっているときに落としたような記憶もある


今日は用事があって塾から帰るところなのだが


一度教室に寄っていたのだ



「とりあえず行こう」



___



__



_




クッキーは自分で焼いたものであり


見た目は少しだけ不格好だが味にはそれなりの自信があった


塾の教室の扉を開けると



「燐?」


「おぉ美空!!忘れ物でもしたのか」



奥村燐がいた



「うん、ここら辺にクッキー落ちてなかった?」


「ん、これか?」



パッと差し出された物を見ると確かにそれは


美空の持ってきていたクッキーの袋だった



「ありがとう燐!!・・・燐?」



なかなか燐は袋を手放そうとしない



「燐・・・もしかして欲しいの?」



燐はコクリと頷く



「はぁ・・・なら最初からそう言えばいいのに」


「くれるのか?!」


「いっしょに食べようねー」



あからさまにルンルンで喜びだす燐に多少の呆れを感じつつ袋を開ける



「はいどうぞ」


「いただきまーっす!」



ひょいとつまみ口の中に放り込む



「どうでしょうか・・・?」



無言で燐はクッキーを飲み込んだ


燐の料理のうまさは美空も知っている



「めちゃくちゃうめぇ!!」



ニカリと満面の笑みでクッキーの感想を告げる



「よかったぁ」


「美空って料理得意だったんだな!」


「お菓子だけなんだけどね」


「それでもすげぇと思うぞ?」


「そ、そうかな?」


「おう!」


「ありがとう」



その後も燐はパクパクとクッキーを食べ続けた



「燐さん、よろしければ明日も持ってきましょうか・・・?」


「え?まじで?!!」


「今度はマフィンか何かにするよ」


「じゃぁ俺は明日美空の分まで弁当作ってやるよ!」


「い、いいよ!申し訳ないよ!!」


「俺の気が治まらないだけだから気にすんな」



そうやって燐は美空の髪を撫でた








美味しい時間








教室に入る扉の前


「えぇなぁ美空ちゃんのクッキー・・・」


「志摩さん!しっ」


「早くこののろけた空気どないかしてくれんか」


「まったくよ」


「私はこれでもいいと思うけどなぁ」


「しえみさんそれはそれで授業ができなくて困りますよ?・・・まったくうちの兄貴は」


呆れムード全開であった






















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主はお菓子作りが好きです

上手下手は抜きにして←

料理もします!お手伝いですけども
 

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