短編

□悪魔兄妹
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「兄上、もとの態勢に戻っていいでしょうか」




手を振りほどきグルリと落下していく方向を見る




「無理に振りほどくなら聞いた意味がないと私は思うのですが」


「それよりメフィスト兄さん、まず学園の結界の一時的解除を」


「おまっ!そんなことしたらどうなるか分かっているだろう!」


「入って来た悪魔なら私とアマイモン兄さんとどうにかしますよ」


「はぁ・・・あまり目立った騒動を起こすなよ」


「了解です。よかったですねアマイモン兄さん、遊べますよ」


「ハイ、とても楽しみです」




抑揚のない返答ではあったがその眼には期待が満ちていた




「人の姿のときに履くスカートというのはどうも慣れませんねぇ。スースーします」


「美空パンツ見えますよ?」


「気にしません」


「少しは気にしろ!!」




はぁ、と不服そうな声を出しながら美空は下に広がる景色を見る




「それにしても・・・」


「どうしました?」


「いつ見ても物質界はおもしろそうな物であふれていますね」




弱いものから極度に強い悪魔。弱い人間強い人間。祓魔師。


そしてサタンの落胤




「・・・・・・本当に面白そう
だ・・・!!!」


「美空、目が血走っているぞ。少し押さえろ」


「えぇ、分かっていますよ。今は我慢します・・・ねぇメフィスト兄さん」




もはや言うことが分かっているかのようにメフィストは沈黙した




「父上の許可が降りたら私もこちらへ来ていいでしょうか?」


「・・・降りたらな」


(というか降ろされたら困るような。でも、美空が傍に置けるなら―――)


「何を一人で百面相してるんです?」




美空はメフィストの顔を覗き込むようにして見る




「なんでもありません☆」


「美空がこっちに降りてくるその時は、僕が迎えに行きますから」


「ありがとうアマイモン兄さん。・・・あぁ」




その時が酷く楽しみだ。と、美空は哂った


それを見た兄二人も口角をあげる




「えぇ私もそれを楽しみに待っておくことにしましょう☆」


「そうなったらこっちでたくさん遊びましょうね」




狂い狂った悪魔の兄妹




「いつか必ず。この世界を」


「お前には無理だろうな美空」


「人なら全部僕が殺しますよ?」


「一人で無理なら皆でやるまでです。ね?メフィスト兄さんアマイモン兄さん」



この世界を私たちの手の中に












悪魔兄妹











「兄上方」


地上に降りた妹は無邪気な笑顔を見せる


「やっぱり兄上達が大好きです、私」


「いつもそのくらい素直だったら・・・まぁそこが可愛らしくもあるんですがね☆」


メフィストは美空を抱きしめる


「兄上ずるい。僕も美空が大好きです」


アマイモンも背後から美空を抱きしめる


「暑いですよ」


三人はそれぞれ微笑んだ





























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