ばかつきが入学したって良いじゃないの!(仮)

□予鈴は始まりの合図
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キーン、コーン...

一定のリズムで今日も予鈴の音が鳴り響く。


オレはこの音が好きだ。

それは、それが全ての始まりの合図だって気持ちにさせるから




「はいはい、静かに静かに」


音が鳴り止むと、どこかやる気を感じられない気配を漂わせる担当教師がガラリと扉を開いた

その音もまた始まりの合図なのは確かで、ガヤガヤとざわついていた空気に終止符が打たれたのだ。



「えーと……ま、挨拶の前に。黒板消し移動させた奴に頭下げてもらおうか」


「チッ……黒板消しトラップ交わしやがった」



そんな始まり方はお決まりの事で、オレはハハッと調子よく笑いながら名乗り出た。







「で、注意も終わった事だし…挨拶」


ここでやっと、始まりの儀でもあるお馴染みのアレが幕を開ける。
 
・・・という時



「の前に……転入生の紹介が先か」

それを割ってはいったイベントに、沈黙していたはずの教室はざわつきを取り戻した。



「転入生?」
「どんな子だろー」


そんな会話一色に染まりあがる教室。


「女の子なら大歓迎だけどよぉ……こういう時ってぜってェ男なんだよな」

その中でオレだけが空気を読んでいなかった。




「静かに静かに。さわいでちゃ自己紹介も聞こえないでしょ」


ガラリという扉の音、それと同時に高音で「キャー」と騒ぎたてる女子の声。


ほら、やっぱりな


オレの鋭い洞察力が勝ったのだと確信した瞬間だった。





「えーと名前は……」


そいつを見る気も起きなければ名前を聞く気も起きなくて。

続けられる先生の声さえ無視しようとした。


  だけど






「サソリ、さんだ」


「うおい!!!?ちょ、ちょっと待ってよカカシ先生!そいつ暁じゃねェーか!!!?」



平常心を保ったままでそう紹介する先生の声に、耳を傾けざるおえなくなった。






「あー……ああ、確かに原作じゃ暁って事で敵同士だが……ま、細かい事は」


「気にするってばよ!!!それに何でさん付け……」

「いや、一応目上だから」


そう叫んだのはオレだけで、教室の中では「気にするなよ」なんて空気が流れていた。


またオレだけが空気読んでない……って事だ。




 
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