銀河英雄伝説

□獅子の泉に小鳥囀る
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 ゴールデンバウム。銀河帝国がそう呼ばれていた時代から20年。
 既に暦に「新」という冠詞が付かなくなって久しい。
 人々は若き皇帝のもと、平和な時代を享受していた。

 ーー表向きは。

 500年余り、銀河帝国・フェザーン・同盟という3つのゆらゆらと揺れる均衡の中で回っていた経済が、いきなりフェザーンという中間点を失い目まぐるしく変化した。
 経済だけではない。文化も、生活も、何もかもが変わってゆく。
 その変わってゆくシステムの中で取り残された者。旧体制であれば得られていた生活を失った者。そういった不満を抱えた者たちが鬱屈を抱え、いつしか徒党を組み、根強く生き残る地球教徒やゴールデンバウム王朝復興を望む貴族や旨味を取りそこねたフェザーン商人やらと繋がって反乱を企てていた。
 反乱分子の旗印は無論、旧ゴールデンバウム王朝の血を引く者。
 当人が、望むと、望まざるとに関わらず。
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