頂き物BOOK

□奥村兄とほっかいろ
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「さーみぃ!」
「寒いっていうなら、ちゃんとマフラーしてきなよ」
ズズッと鼻を啜る。鼻水が出そうな感じはしないのに、寒いとどうしてだか鼻を啜りたくなってしまう。不思議。斜め前を歩く奥村兄は、ズボンのポケットをペシペシと叩いてニンマリと此方を見ながら笑う。ドヤ顔だ、ウザイ。

「なによ」マフラーで口元も覆うようにして奥村兄を睨む。
「雪男からホッカイロを貰ってんだ」

ドヤッ!と言いながらポケットから取り出したのは、未開封の貼るホッカイロ。未開封。

「……」
「羨ましいだろ」

そう言いながら、また大事なものをしまうように奥村兄はポケットの中にホッカイロを入れる。なんか動作が泥棒みたいだ。

「いやいや、未開封って意味ないよ!」
「やらねぇからな!」
「いらんわ!」

ホッカイロの入ったポケットを両手で押さえて、奥村兄は私との距離を開ける。ため息しか出ない。「まったく」とため息混じりに吐き出して、私は自分の両手を口元にもっていく。奥村兄と巫山戯あっていても寒いのは変わらない。はぁと両手に息を吹き掛ける。少しだけ手を揉んでいると奥村兄の視線を感じた。

「なに」
「いや、さみぃの?」
「そりゃ寒いけど、」

「なに?」と喉まででかかった声は奥村兄が差し出してきた手に吃驚してしまってお腹の中に落ちていった。

「……」
「寒ぃんだろ?手、貸せよ」

ジィッとその手を見つめていた私の冷えた手を奥村兄の温かい手が拐っていく。ギュッと繋がれて、縮まった距離に胸の中が温かくなっていった。





―・―・―・―・―・―・―・

鉢屋さんから、77777打の際の頂き物です(*^∇^*)!!

ホッカイロを燐からもらったらそれはそれで家宝ですが、燐と手を繋ぐなんて一瞬でゆでダコになりますね!!絶対!!(笑)

こんなに幸せなお話を作って下さって、ありがとうございました!!+゚.

 
 

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