Book(aoex)

□寒い時には
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「さむーい!なんでまだ秋なのにこんなに寒いのっ」

誰に言うわけでもなく、一人で寒さに文句を言いながら学校までの道のりを歩く。

今朝、彼氏の燐を迎えに行ったんだけど、まだ寝てるみたいで玄関のチャイムを鳴らしても応答なし。

…まぁ、燐らしいんだけど、ね…(笑)

「…にしても、」

一人で居ると、なんだか肌寒さ以外の寒さまで感じてしまう。

なんだかんだ言って付き合う前から一緒に登校していた燐が居ないだけで、こんなにも違うだなんて…。

私が燐に対してどれほど依存しているかがよく分かる。

「ふぅっ…、燐…まだ寝てるのかな…」

なんて呟いたら、

「なつー!」

後ろから、最愛の人の声。

「燐!…もう、今朝迎えにいったのに寝てるんだもん…」

「ははっ…ごめんな?ちょっと昨日、夜更かししちゃってさ…」

「えっ、燐が夜更かし?いつも寝てるのに…?」

「なっ…いつも寝てるってなんだよ!」

走ってきたせいか、寒さのせいか、頬を少し赤く染めながら話す燐が可愛くてしょうがない。

「俺がなんで夜更かししたか…分かるか?」

「えっ…?」

確かに…夜更かしの原因は気になる。

なにかよっぽどのことがあったのだろうか…。

「…正解は…ほら、これだよ」

そう言って燐が鞄から出したのは、綺麗に編み込まれたマフラーだった。

「しえみとか、勝呂とかに聞きながら作ったんだけどよ…どうだ?」

「すごい…!燐、編み物上手だね!」

「そっ、そうか…?//」

「うん♪」

「ほら…なつさ、前に肌寒いだのなんだの言ってただろ?だからその…、お前が寒くないように、したかったんだよ…//」

あっ、何日か前に私が呟いたこと…覚えててくれたんだ…//

「ありがと、燐!」

「おっ、おう!…じゃあさ、せっかくだから…」

そう言うと燐は自分が持っていたマフラーを私の首に巻き付け、次に自分の首にも巻き付けた。

「…これなら、二人で寒さに凍えること、ないよな?」

「うん…!//」


燐のさりげない優しさが、暖かさが、マフラーを通して伝わってくる。

「あぁ…幸せ…//」
「俺もだ…//」

この小さな幸せが、ずっと、続きますように…








寒い時には
(二人でずっと、くっついていよう)



 
2011.11.9
なつ


 
 

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