Book(aoex)

□電子化した世界
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私は最近、ふと思うことがある。

今の世の中、携帯電話やパソコンがないとやっていけないくらい、電子機器が私たちの生活に入り込んできている。

確かに便利だし、必要だとは思うけど、何より、相手の顔が見えない。

だから、たまにネット上で見る、広告だとか、掲示板だとかの内容にいちいち疑ってかかるのだ。

馬鹿みたいだけど、そうでもしないと見ず知らずの誰かさんに、騙されてしまうような気がして。

「なつ、」

いちいち、誰かを疑わなきゃいけない、なんて、

そんな時代がくるなんて、思いもよらなかった。

顔が見えないから、誰がやってるのか分からないから、疑わなきゃいけないなんて。

こんな小さなことだけど、私には、大きなことのように思えて。

誰も疑わなくていいような、そんな、理想的な世界になればいいな、なんて思ったりする。

「……なぁ、なつ!」

「…ん?なぁに、燐」

「やっと気づいてくれたか!!」

そう言って、太陽みたいに笑う燐を見てると、さっきまであんなに考えていたことが一気に、まぁいいやって思えてくる。

やっぱり燐の笑顔って不思議だな…












電子化した世界
(ありがと、燐)
(え?お、おう…?)




 

2012.08.01
なつ

 
 

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