Book(aoex)

□優しいヒト
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今日は夜も私の任務もなく、久々の休日だったので夜と一緒に寛いでいた。

ほんとはどこかに遊びに行きたかったけど、立て続けに入った任務に対しての疲労困憊した彼の様子を見て、今回は我慢した。

「…あれ、?」

ふと夜の腕を見ると、切り裂かれたような大きな傷痕。

こんな傷痕、昔からあったっけ…?

「ん、どうした?」

私の視線に気づいた夜が、さっきまでテレビに向けられていた視線をこちらへと向ける。

「夜さ、昔からこんな傷痕、あったっけ?」

私はまだ痛々しい傷痕を指差して夜に問う。

「!…あ、いや、そうだな、昔からあったんだ!なつが気づかなかっただけだろ。」

…怪しい。どうみても怪しい。いつもの意地悪悪魔な夜さんとは別人のようだ。

「ほんとに?でも私、夜とお風呂に入った時、こんな傷痕見つけなかった」
「わああぁ!!//」

この慌てよう。やっぱりいつもの夜らしくないな…。

「お、お前、急に何言い出すんだよ…//」

頬をほんのり赤く染めた夜が少し不服そうに睨んでくる。

…なんかかわいいかも。

「ね、夜。ほんとのこと言ってよ。その傷、いつ作ったの?」

私が真剣な顔をして言うと、夜はバツが悪そうに顔を逸らした。

「…なつには関係ない。」

「関係あるんですー。昔、素っ気ない態度とらないって約束したよね?」

そう言うと夜は黙ってしまった。

「夜が何言っても、私は怒らないから。だからほら、言ってみて?」
「背が低いって言ってもか?」
「余計なお世話よ!!」

人がせっかく親切に聞いてあげようとしてるのに、まったく…

「冗談、冗談。なつがそこまで言うなら、ちゃんと話すよ。」

約束だったしな、そう言いながら私の頭を軽く撫でる。


「子供…助けたんだ。」

「え…?」

「あ、任務とかじゃなくてさ。任務終わった後の帰り道。なんかわかんねぇけど、小さい子供が屍に追われててよ。自分の武器構えてる暇も無かったから、そのまま子供の前に出て庇ったら、ちょっと腕をやられちまって。」


…あぁやっぱり夜は優しい。

初めて見る人を、自分を犠牲にしてまで助けちゃうんだから。

ただそんだけだ、と笑う夜を思いっきり抱き締めた。









優しいヒト
(…ばか。危ないこと、しないでよ…)
(ははっ、まぁいいだろ?その子が助かったんだから。)




 

2012.8.1
なつ


 
 

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